人質【3】 (ページ14)

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Ep.１０８ページ14

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「────やめた方がいいよ」

美術室に駆け込んだ瞬間、準備室から声がした。

「その中にも爆弾が仕掛けられてる」

声の主は、逢沢くん。

華ちゃんがガタガタと揺らしていたロッカーから慌てて飛び退いたのが見えた。

「強引に開けたら爆弾するよ」

「･･･なんでそんなこと知ってんの、」

もしかして、先生言ってた “内通者” って逢沢くん？

「皆ここから出ようか。
さもないと、
─────･･･爆破するよ」

希望を見出していた皆の表情が一気に引き攣り、青ざめた。

完全にタイミングを見失い、皆に流されて一緒に準備室を出る。

「･･･なんで逢沢が、」

「僕は先生に頼まれて、皆のお目付け役として動向を見守ってきたんだ。
先生は自分に万が一のことがあったら僕に託すと言ってた。
･･･だから先生が回復するまで、僕が代わりに役目を果たす･･･！」

逢沢くんは先生の腕時計に手をやり、いつでも爆破できる体勢をとった。

･･･これ、私いらないやつだ。

私が言わなくても逢沢くんがやってくれるやつだ。

「･･･いやいやいや、お前そんなに景山のことが好きだったのか？」

「そうじゃない。僕はただ真実が知りたかっただけだ。
彼女をずっと撮ってきたのに助けられなかった･･･だから、ッ！！」

石倉くんと須永くんが一瞬の隙をついて、逢沢くんを押さえ込んだ。

「離せよ･･･ッ！！」

甲斐は押さえられた逢沢くんから腕時計を取り上げる。

「お前に殺しはできねぇ。
･･･だから躊躇する必要もねぇ･･･！！」

『甲斐！！』

鈍い音が響き、甲斐が逢沢くんを殴った。

「お前ならロッカーも床のハッチも開けられるよな？解除方法を教えろ」

やり方は乱暴だけど、6人が無事だってことがわかれば皆、話を聞いてくれるかもしれない。

だから余計なことは出来ずに、問い詰められる逢沢くんを見守ることしかできなかった。

『･･････ごめん逢沢くん。
でも、私は皆と違って協力するつもりだから』

「･･･え、？」

教室の端でパソコンを操作する逢沢くんの耳元で、誰にも聞こえないように言った。
それだけは伝えたかったから。

「おい、開いたぞ！！」

一斉にハッチを覗き込む皆。

下にいた子達は6人全員無事だったらしく、涼音の涙声が聞こえてきた。

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