人質【3】 (ページ10)

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Ep.１０４ページ10

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先生は教卓に置いていた上着のポッケから、誰かと繋げていたらしい携帯を取り出して話し始めた。

「･･･今それは重要じゃないです。
警察もずっと探してたんでしょう？
･･･ベルムズの、アジトを」

どうやら電話は郡司さんとつながっていたようで。

「･･･甲斐。警察が、喜志を拘束した。
お前も、お前の家族も。もう心配ない。
それと、お前のお母さんのことだが、佐久間先生のご実家が介護施設を経営してるらしく、お母さんの面倒をみてくれるそうだ。
───変わるなら今だ。お前のその手で、道を切り開け。
･･･俺が好きなヒーローのセリフだ」

「･･･ッんだよそれ、」

先生のクサい台詞にも笑顔を浮かべられるくらい、甲斐は安心したようで。

『よかったねぇ甲斐！』

わんちゃんみたいに、両手で頭を撫で回してやった。

「･･･ばッ、やめろ！」

『よかったよ、ほんとに･･･！』

あとは任せた、と石倉くんと須永くんに任せ、私はさくらの隣に行った。

2人は甲斐に手を差し伸べる。

その手を掴んだ甲斐を引っ張り、支えて立ち上がった。

「情けねぇな･･･」

「･･･さんきゅ、」

この4日間で初めて、心の底から “よかった” と思えたこと。

それもこれも全部、先生が誰も殺していなかったからこそこんなに安心できているんだけど。

「───里見達はどこにいるんですか？」

真壁くんが、そう聞いた。

やっぱりそうだよね、生きてるって分かったんだから会いたいよね。

涼音が駆け寄り、先生に泣きながらきく。

「･･･蓮は･･･、蓮はどこ･･･ッ、」

先生、教えて、どこにいるの。

皆が駆け寄り、一颯先生に詰め寄った。

先生は涼音の肩にゆっくり手を置いて、覚悟を決めたような表情を浮かべた。

「───わかった。全てを、打ち明けよう」

全員が安堵の表情を浮かべ、言葉の続きを待った。

「･･･里見達は、
───ぁﾞ･･･ッ！！」

突然、今までとは明らかに違う、声にならない声をあげる先生。

『先生･･･！？』

私が駆け寄って肩を掴んでも、先生には届いてない。

ただひたすらに苦しそうな声をあげ、一気に力が抜けて倒れこんだ。

咄嗟に庇った私も一緒に倒れたけど、そんなことはどうでもいい。

『･･･せんせ、？
ねぇ、やだよ･･･ッ』

何回名前を呼んだって、一颯先生は応えてくれない。

『───･･･ッ、一颯先生！！！！』

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