人質【3】 (ページ44)

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Ep.１３７ページ44

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「───何がよかったんだよ、おい。
･･･何がよかったんだよ？」

やばい。

直感でそう思った。普通の怒り方じゃない。

涼音の胸ぐらを掴みあげ、顔を覗き込む先生。

「お前が、この動画をネットに流そうとしたことに変わりはない。違うか？」

「･･･ッでも、」

「でもじゃないんだよ、」

涼音の肩を押し、ドアまで追い詰める。

「この動画が世間に拡まってたら、坪井先生がどんな目に遭ってたか。･･･よく考えたのか。
なァ！？考えたのか！！
お前の！！不用意な発言で、身に覚えのない汚名を着せられ、本人が！家族が！！友人が！！！･･･傷付けられたかもしれないんだ」

涼音の顔の両脇に何度も手を叩きつけ、涼音の胸ぐらを掴んだ。

「お前は、取り返しのつかないことをなろうとしたんだ、なァ！！わかってんのか！！！！」

“良かった”。

少しでもそう思ってしまった自分が情けないと思った。

あと少し、あと少し遅ければ、坪井先生の人生は滅茶苦茶になっていた。あるいは坪井先生だけじゃなかったかもしれない。

「もういいじゃん･･･ッ、しょうがないでしょ･･･？
結果やってなかったんだからもう許してあげなよ･･･！」

「そうだよ、涼音だって反省してんだ、」

「目を覚ませ！！！！」

ビリビリと、先生の気迫が響いてきた。

「･･･何がしょうがないんだよ、おい･･･？
何を反省してるんだよ！！！
お前ら、いい加減を目を覚ませよ。
･･･変わってくれよ！！！！」

先生の伝えたいこと、私達に気づいて欲しいこと。

「･･･何がいけなかったのか。
上辺だけで物事を見ないで、よく考えるんだよ！！
目の前で起こってるものを、ちゃんと目で受け止めて、頭に叩き込んでッ、胸に刻むんだよ！！！
お前らそれをしないから何回も何回も同じこと繰り返すんじゃねぇのか！？」

体、相当しんどいはずなのに、身振り手振り、先生は全力で私達にぶつかってきてくれている。

「なぁ水越！！
聞いてんのかお前に言ってんだぞおい！
水越！！お前に言ってんだよ！！
ちゃんと頭に叩き込んだか？なぁ、ちゃんと胸に刻んだか？･･･聞いてんのか！！！」

気付けば、ボロボロと涙が零れていた。

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