Ep.9 ページ10
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「あった!これだよ〜ッ!」
「それだ!!」
それで逃げる?
強化ガラスにまで付け替えられた窓が、簡単に開くとでも思ってんの?
ホコリのかぶった避難はしごを見つけ、皆は一気に表情を緩める。
「ぶっきーが来ないか見張ってろ!」
・・・監視カメラ、気付いてないの?
わざわざ馬鹿正直に、あの人が見廻りにくるとでも?
必然的に窓際、一番後ろの席。
私や甲斐の席の周りに集まるクラスメイト達。
ドアが特殊な鍵だってのに、窓にそれ付けないなんてこと絶対にないし。
いつまでもガタガタやってる皆が鬱陶しくなって、席をたって一番前の本棚の前に立てかけてあった椅子を広げて座り、そこから適当な本を選んで読むことにした。
外にいる先生達に助けを求め始めたクラスメイト達。
・・・ま、透明なガラスなら気付いてもらえるかもねぇ。
「助けて!!」
「出して!ここから出して!!」
「先生、俺達まだここにいるよ!!」
やかましいな、とは思いながらも小説は3ページ目に突入した。
《 ───助けを呼ぼうとしても無駄だよ。
その窓ガラスは、外からだと中の様子が見えないようになってる 》
“
「なんでウチらのことが・・・?」
教室中を見渡し、ようやく天井の監視カメラを見つけたようで。
《 皆のことはよーく見えるよ〜・・・ 》
「・・・チッ」
諏訪ちゃんの舌打ちも聞き逃さないとなると、結構高いやつ。
《 あ、ちなみに。
このカメラ高いから、壊したらペナルティーだぞー 》
この状況じゃ “ペナルティー” が何かわからないから、皆下手に動けない。
そのまま通信は切れて、皆は完全に逃げ場をなくしたことに絶望する。
本を1冊読み終わる頃、西崎くん達が教室から飛び出していって。
そっと廊下に出てみると、こっちまで響いてくる楽しそうな声。
《 惜しかったねぇ。
これから回収に向かいまーす 》
言うや否や、一颯先生が美術室から出てきて。
「緒方、男子トイレ覗き見とはいけないねぇ。
はいペナルティー決定〜」
『・・・は?』
いいから行くよ、と手を引かれて男子トイレに連れ込まれて。
一番奥の個室を、どこからか引っ張り出してきた脚立を使って上からぴょこんと覗き込む。
・・・ちょっと可愛いとか思っちゃった。
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寿司 - 何度も見返しております。 そのくらい大好きです! (2019年1月19日 17時) (レス) id: 1641cbc119 (このIDを非表示/違反報告)
のに - 最高です。ストーリーめっちゃ好きです。 (2019年1月15日 19時) (レス) id: 7e4ee45a06 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ☆(プロフ) - ↓誤字がありました、すみません!これからも、楽しみにしています!です! (2019年1月15日 10時) (レス) id: ea2cee480d (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ☆(プロフ) - はじめましてオレンジです!あなた様の作品を楽しく見ています!!頻繁に更新をしてくださりありがとうございます!これからも、楽しみにしていましています! (2019年1月15日 10時) (レス) id: ea2cee480d (このIDを非表示/違反報告)
地咲 - 好きです(真顔) (2019年1月15日 2時) (レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しぃも | 作成日時:2019年1月7日 21時