Ep.８ ページ9
.
───誰も澪奈が自 殺したことについて話そうとしないまま、時間が経つ。
華ちゃんと柳本は、お腹が減ったと競い合うようにお弁当を食べていて。
･･･私、今日購買行こうと思ってお弁当持ってこなかったんだけど。
こんな状況じゃ、財布なんてなんの役にもたたないし。
ヘッドホンも取り上げられちゃった私はやることもなく、ぼけーっと窓の外を見つめる。
･･･私達のクラス以外、揃ってる。
あぁ本当に、人質にされたんだ。
他人事みたいにそう思う。
「お前らよくこの状況で飯が食えんな･･･」
石倉くんが2人に向かってそう言った。
仕方ないよね、お腹は空くもん。
「私達、殺されちゃうのかな･･･ッ」
「ンなわけねェだろ･･･！
ただの脅しだよ脅し！」
「なんでそんなこと言いきれんの？」
「いや普通ありえねェだろ、教師が生徒を殺すとか」
「それを言うならこの状況が既にありえないんだけど」
香帆の言葉がその通り過ぎて、思わず鼻で笑ってしまった。
「なに笑ってんだよ緒方、」
『いーや、なんもない』
「お前ほんと、よく取り乱さねェで居れるよな。さっきから一言も喋らねェけどよ。
あ、もしかしてぶっきーとグルとか！？
お前ら最近仲良いし。デキてるとか！？」
くっだらないことで盛り上がり始める。
いい加減イライラしてきたから、机をトントンと指で叩いた。
『･･･私と先生は、グルじゃない。
皆と同じ、ただの人質だよ』
そう。
殺そうと思えばいつでも殺せるただの人質。
「･･･なぁ、今のうち皆で逃げね･･･？」
突然、そう呟いた里見くん。
「逃げるってどうやって？
瓦礫で外に出られないんだよ？」
「窓からだよ！
ほら、防災訓練とかで使うヤツあったろ。
･･･どこだっけアレ･･･、」
「あ！アレ！？ちょ、どいてどいてどいて！」
ちょこまかと窓際の一番後ろまでやってきた兵頭くんは、ガタガタと避難はしごを探し始めた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2354人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
寿司 - 何度も見返しております。 そのくらい大好きです！ (2019年1月19日 17時) (
レス) id: 1641cbc119 (このIDを非表示/違反報告)
のに - 最高です。ストーリーめっちゃ好きです。 (2019年1月15日 19時) (レス) id: 7e4ee45a06 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ☆(プロフ) - ↓誤字がありました、すみません！これからも、楽しみにしています！です！ (2019年1月15日 10時) (レス) id: ea2cee480d (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ☆(プロフ) - はじめましてオレンジです！あなた様の作品を楽しく見ています！！頻繁に更新をしてくださりありがとうございます！これからも、楽しみにしていましています！ (2019年1月15日 10時) (レス) id: ea2cee480d (このIDを非表示/違反報告)
地咲 - 好きです(真顔) (2019年1月15日 2時) (レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しぃも | 作成日時：2019年1月7日 21時
