Ep.37 ページ38
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「───Aちゃん、ちょっと来て、」
『わ、なに・・・ッ』
窓から外をぼけっと眺めていると、里見くんに手を引かれて。
皆が集まってる教室後方に連れていかれた。
「・・・ぶっきーはまだ作業中だ、盗聴の心配もない」
『ねぇ何が・・・?』
「つかお前その手離せ、」
朝からずっと不機嫌な甲斐が、私の手を掴んでた里見くんの手を思いっきり叩いた。
「・・・お前ほんと、・・・まぁいいや。
───中尾はたぶん、死んでない」
「どういうこと・・・!?」
涼音に少し遅れて、やっと言葉の意味を理解する。
『死んでない、って・・・、』
「・・・さっき真壁と2人で、美術準備室に行ったんだよ」
「中尾がいたのか、?」
「いや、姿は見てない。
でも、中が少し見えて。
・・・全く同じパンの食べかけが、2つあった」
全く同じパンの食べかけが2つ。
確かに、先生と他にもう1人の分と考えるのが普通。
「いやそれだけで生存確定は無理あんだろ、」
「あと遺体の臭いが全くしなかった・・・!
普通なら多少の異臭が漂うはずだろ・・・」
とっても冷静な真壁と里見くん。
あの短時間でよくそこまで観察できたね。
「それだって、遺体を別の場所に隠したり、
バラバラにしてトイレに流したりとか・・・」
「ねぇ、なんでそうネガティブに捉えるわけ・・・!?
ほんとに生きてるかもしんないじゃん・・・!」
“生きてるかもしれない”
それだけで涼音の顔色は、少し良くなった。
「・・・けど、生きてたとして、なんで殺したふりなんかすんの?」
「俺らに恐怖心を植え付けるためだろ」
「確かに、殺しをやるような奴に歯向かえねぇもんな・・・」
『・・・ほんと何考えてんの・・・』
わからない。先生の考えてることが、本当に。
「でも先生には爆弾がある・・・」
「問題はそこ。
時計さえ奪えれば逃げれんだけど・・・」
「・・・だったら俺が奪ってやる、」
覚悟を決めた、甲斐の瞳。
『・・・甲斐、無茶はだめ』
「そうでもしねぇと逃げれねぇだろ、」
『あれだけやられてまだわかんないの・・・!?
中尾くんだってほんとに生きてる確証ないじゃん!』
「ずっとこのままここにいるってのかよ!?」
『死にたいの・・・!?
爆弾だってどんなのがどこにどれだけ設置されてるかわかんないじゃん・・・!』
怖いの、本当に。
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寿司 - 何度も見返しております。 そのくらい大好きです! (2019年1月19日 17時) (レス) id: 1641cbc119 (このIDを非表示/違反報告)
のに - 最高です。ストーリーめっちゃ好きです。 (2019年1月15日 19時) (レス) id: 7e4ee45a06 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ☆(プロフ) - ↓誤字がありました、すみません!これからも、楽しみにしています!です! (2019年1月15日 10時) (レス) id: ea2cee480d (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ☆(プロフ) - はじめましてオレンジです!あなた様の作品を楽しく見ています!!頻繁に更新をしてくださりありがとうございます!これからも、楽しみにしていましています! (2019年1月15日 10時) (レス) id: ea2cee480d (このIDを非表示/違反報告)
地咲 - 好きです(真顔) (2019年1月15日 2時) (レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しぃも | 作成日時:2019年1月7日 21時