人 質

Ep.３３ ページ34

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「へいへいへい甲斐くんどうした〜？」




近付いてきた先生に、甲斐は背を向ける。




「言ったろー！
大切なのは想像力だって！
今お前が踊らなかったら皆がどうなるのか。
ほら、緒方もヘタクソなりに頑張ってるしッ」

『･･･むかーっ！』




下手に出たら皆が殺される。でも腹立つ。


言葉にならない文句を言いながら踊るしかなかった。




「長生きしたいなら、体操はした方がいいよ？」




へーいッ、と楽しそうに先生は踊る。




「かもーんっ！イェイ！
甲斐くんカモンカモーン？」




私の真ん前で甲斐を挑発する。




「あっ、緒方いま振り間違えたーッ」

『うるっさいなぁもう！』




さすがに、キレる。

鬱陶しいったらありゃしない。

･･･でもやらなきゃ皆がどうなるか。


一颯先生はカムカム、と甲斐を挑発し続ける。




「･･･チッ！」




盛大に舌打ちした甲斐は、キレッキレのダンスを踊り始めた。




「おぉおお甲斐くんいいねぇキレてるねえ！」

『･･･は！？』




誰よりもキレキレのダンスを踊る甲斐。


衝撃的すぎて一瞬止まる。




「Aちゃぁん踊って踊ってー！」

『甲斐できるの！？』

「うっせえお前もやれ！」

『私だけヘタクソ･･･！』

「あとで俺がレクチャーしてあげるよー！」

『要らん！！』




なぜ今日はこんなに鬱陶しいモードなのか。


私の前でお手本のように踊る一颯先生も、キレキレ。




────･･･ある意味地獄のような時間だった。








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