気付かない男、今井です。【III】

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『───どこにいるの･･･ッ』




あっちこっち、今井さんを探して走り回る。


無いとは思うけど、開久高校の近くまで来てしまって。




「･･･おぅ、」




ばったり、片桐さん達と遭遇した。




『あ、あの･･･！
今井さん見かけませんでしたか･･･！？』




私のあまりに必死な表情に、さすがの片桐さんもすこし引き攣る。


だって谷川さんのあんな表情、見たことないんだもん！




「いや、見てねェな。
お前ら見たか？」

「いや、見てねェっす！！」

『そうですか･･･。
もし見かけたら───』




──── ガコンッ




そんな鈍い音と共に、片桐さんが顔を歪めた。

ゴロゴロと地面に転がったのは缶ジュース。中身がちゃんと入ったやつ。




『だ、大丈夫ですか！？』

「･･･ッてェ、」




だよね、痛かったよね！すごい音したもんね！？

わたわたと慌てる私とは裏腹に、ゆっくりと睨みつけるように振り返った片桐さんの視線の先には。




『ッ今井さん･･･！』

「Aちゃん！？」




ずっと探し続けていた人。

そんなにロマンチックなシチュエーションでもないけど、なぜか涙が零れそうになった。
･･･ほんとに全然ロマンチックでもなんでもない。




「･･･今井ィ、お前か」




つかつかと後ろへ歩いていった片桐さんと相良さん。




「俺じゃねェ！！」

「お前しかいねェじゃねェか」




確かに、この路地には私達以外誰もいない。

もしかして、とも思ったけど三橋さんの姿もどこにもない。




「なんか文句でもあんのか」

「文句、･･･ないよォ！！」




もし、仮に文句があったとして今井さんがこんなことするとも思えない。
何かあったなら真正面から言うような人だもん。




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