Ep.１１２ ページ18
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「･･･なにあれー･･･」
「ツッパリだよね？」
HRが終わり、下校しようと昇降口まで来て、クラスメイトの怪訝そうな会話が耳に入った。
「青い制服って、確か紅羽高校の･･･」
『･･･ッ！』
思わず校門の方に視線をやってしまい、そこにあるシルエットを見て言葉が出なかった。
腕を組んで仁王立ち、一際ガタイのいいその人。
今日はいつもいる、小さい影がいなくて。
『･･･やっぱり無理だよ、』
慌てて靴を履き替え、裏門まで走る。
私に用があるとも限らないのに、
そもそも、もう忘れられてるかもしれないのに。
直接会って話す勇気がないだなんて。
意気地無しにも程がある。
わかってても、やっぱり怖くて。
「･･･Aちゃん、」
『谷川さん･･･ッ！？』
裏門の傍にしゃがんで待ってた、あの人の相棒。
にへら、と笑う顔はいつみても安心する。
「髪切ったんだね。誰だかわかんなかったよ。
ごめん、急にこんなことして。
大丈夫、今井さんは俺がここにいるってこと知らないからさ」
それから谷川さんは、こうなるまでの経緯を話してくれた。
今井さんが私にずっと謝りたいと思っててくれてたこと。
今井さんは今井さんで、色々考えすぎて中々行動に移せなかったこと。
やっと今日、わざわざ軟高まで謝りに来てくれたこと。
谷川さんは、私がこうすることを見越して今井さんには黙って裏門で待っていてくれてたこと。
どうしよう、ほんとに私、逃げてばっかり。
「･･･大丈夫、今井さんのとこに連れてくとか、今井さん呼ぶとか、そういうのじゃないからさ」
『･･･なんで、』
「Aちゃん、いきなり今井さんに会うことはしねェだろうなって思って。
でも、今井さん本当に反省して落ち込んでるから。自業自得だとは思うけど」
はは、と自嘲気味に笑う。
「あの人馬鹿正直だからさ、正々堂々校門で待ってるって作戦聞いて、なら俺はこっち攻めようと思って。今井さんには内緒ね」
『･･･内緒、』
「直ぐにとは言わない。
Aちゃんの心の準備ができたらでいいから、今井さんに会ってやって欲しい」
『･･･、』
「多分この調子だと、毎日校門で待ち伏せてるだろうからさ。
俺はこれだけ言いに来ただけだから。明日から裏門には誰もいねェし」
今日はもう帰るよ、と走っていってしまった谷川さんに慌ててお礼を言って、家に帰ることにした。
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ゆずは(プロフ) - いつも更新楽しみにしています。今回のお話もとてもよかったです。これからも応援しています！ (2019年4月17日 3時) (
レス) id: 4a89377b71 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - とても楽しかったです！！！私は片桐くんも個人的に好きなので、お時間あれば片桐くん落ちも作って欲しいです！！これからも頑張ってください(*^^*) (2019年1月20日 11時) (レス) id: 7b4882295e (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴 - 番外編とっても楽しみです！これからも頑張ってください(*´ω｀*) (2019年1月20日 10時) (レス) id: 732519457a (このIDを非表示/違反報告)
ねくらげ(プロフ) - これからの展開がめっちゃ気になります…！( *ﾟAﾟ) (2019年1月19日 11時) (レス) id: 7a5491ad26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃも | 作成日時：2018年12月31日 10時
