気付かない男、今井です。【III】

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男子トイレから出ると、バラの花束をもった今井さんが笑顔で歩いてきてて。




『今井さんこっち、！』




思わずその手を引っ張って走る。


半ば強引に背中を押して男子トイレに突っ込むと、今井さんの表情が変わった。




「･･･三橋、」

「なんで俺を見る俺がやったんじゃねぇよ･･･！！」




今井さんは、倒れてる人に駆け寄る。




「こいつは俺の学校の1年だ！
何があったかしらねェが、殺すこたねェだろ･･･！！」

「俺じゃねぇっつってんだろ！！」




遠くの方から、サイレンの音が聞こえてくる。




「･･･サツだ、逃げろ三橋･･･！」

「逃げるな三橋。やってねェんだったら逃げるな」




今井さんは、“逃げろ”


伊藤さんは、“逃げるな”



2人の顔を見て、散々戸惑った三橋さんは。




「あぁぁぁあ･･･ッ！！」




情けない声を出して、飛び出して行った。




「三ちゃん待ってよ！！」

「逃げろォ！！！」




集団でいては目立つ、とのことで、バラけて逃げることに。


三橋さん、足が長いから逃げ足がまぁ速い。



･･･捕まりませんように。




そうお願いして、家に帰ることにした。







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