【wrwrd!】そして、彼は笑ったのだ。【男主】 (ページ6)

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6話ページ6

トントン視点

「グルさん、ちゃんと仕事してて下さいね」

終わった書類を机の端に押しやって、脱走癖のある総統に念を押す。

「うっ……分かってるゾ……。外出か？」

珍しそうな顔をされる。確かに、自分から外に出るのは珍しいだろう。俺もこんな事態にならなければ、他の仕事をやっていただろう。

「まぁ、気になることがあるんで」

「ふぅん」

いかにも興味があります！という顔をされるが、要望通り話すわけが無い。それじゃ、と背を向けるとしょんぼりした雰囲気を感じたが、そうやって話してもらおうという魂胆なのは分かりきっているので無視をする。

昨日、突然いなくなった弟を見た気がした。そして、門番に最近の入国者のリストを見せてもらうと、弟の名前であるルークの名前があった。違う人の可能性も考えたが、門番が「ルークという人は少しはねた黒髪で、男にしては大きい赤目でした」との発言でほぼその可能性は無くなったと思う。

突然いなくなった前日には大喧嘩をした。小学生ほどの幼い頃だったので、原因は覚えていない。きっとくだらないものだと思う。少し気まずさがあるが、だからと言って再びいなくなるのは嫌だ。

基地から出るには門番に外出理由を提出しなければいけない。適当に書いたものを渡して外に出る。

グルさんからの初めてのプレゼントである赤いマフラーが風に揺れる。見つけたあとはどうするかは後にして、とりあえずルークを探そう。決意を新たにして街へと歩き出した。