18話 ページ18
ルーク視点
「軍を抜けたお前に言うのは可笑しいことやっていうのは分かっとるんやけど……俺らの軍に入らへん?」
言い淀んだのは、兄なりの気遣いなのだろう。俺が軍を抜けた理由がハッキリあるのが、ちゃんと分かっているから悩んだのだ。やっぱり優しいなあ。
兄は自分で多くのことができるため、人の下につくことがそもそもない。それに、不満は口にする兄が建国以来ずっと側で支えている。この2つから、きっとここのトップはとても有能で柔軟という良い君主なのだろう。
それでも、
「嬉しい誘いだけど、昔の軍がちょっと、ね」
α国でもう嫌というほど、酷い扱いを受けたのだ。
「どうしてもか? 総統はまあ、その、戦争大好きおじさんやけど、部下を大切に思ってるいい人やで」
あの兄にそこまで言わせるのは単純にすごい。
「…うん、やっぱり遠慮しとく。建国以来兄さんが側で支えるほど、大切なんだろうけど、それでも俺としては軍属はしばらく遠慮したいかな」
少し照れた表情を見せ、そうか、と兄は言う。
「なら、これで最後にするわ。今日の国営放送を見てくれへん?」
「国営放送? わかった」
お礼を述べられる。
2人とも食べ終わったので、兄さんは仕事もあるだろうし解散になるだろう。
「何か聞きたいことあるか?」
「じゃあ、兄さんは毎日楽しい?」
少しキョトンとした表情をして、すぐに笑顔になる。
「おん。すっごい楽しいで」
「そっか、よかった」
そして会計へと行く。
財布を出そうとしたら止められ奢られたのだが、自分もお金は持っている。自分が食べた分は出す、と言うと「今までの誕生日プレゼント分やと思ってや」と家族としての顔で言われた。そんなの引くしかない。
ありがたく奢ってもらい、もし次に会えたら何かプレゼントをしよう。
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