15話 ページ15
ルーク視点
「今まで何しとったん?」
まぁ、幼い頃以来会うことは無かったので、この疑問は当然だろう。
兄と強制的に別れたのは、俺の誕生日の翌日だった。兄からもらった帽子が嬉しくて、友人に自慢しに行って遊んだその帰りの時、人拐いの餌食となったのだ。
その人拐いは、俺以外に5人ほどの子供を拐っていた。俺たちは手足を縛られ、口に布を巻かれてトラックの上に乗せられた。カバーをかけられ周りの景色が見えないまま、しばらくの間荷台で揺られていた。ただ、家から遠ざかっていくのは何となくわかった。
着いたのはα国。そこで俺たちは軍人として育てられ、そこそこの地位まで行った。
ただ、俺はそこから上司の態度や兵士を駒として考えていた奴等が嫌で、一緒に育ったあの5人を置いて逃げ出した。
そこからは追っ手をかわしつつ、旅をしていた。途中からα国か敗戦したらしく、それ以降無くなったのだが。
こんな事実を人のために怒れる優しい兄には言いたくない。だから、少しぼかして伝える。
「んー。軍に入ってある程度したら抜けて、そこからは貯めてたお金で旅をしてたかな」
軍? と兄が少し興味を持ったようだ。
そこで俺と兄のステーキとパンが届いた。
兄は「いただきます」と手を合わせながら不思議な挨拶らしき言葉を発し、フォークとナイフを持った。
俺もお腹が空いたのは本当なので、兄に続いてナイフでステーキを切り始めた。
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