【wrwrd!】そして、彼は笑ったのだ。【男主】 (ページ2)

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2話ページ2

トントン視点

「またバレたンゴ……」

そうめそめそと泣くふりをする我らが総統──グルッペンを無視して、歩き出す。

この人の脱走癖は初期の頃から治らず、今回も大量の書類を前に目を離した隙に逃げられてしまった。国民もこの脱走癖で苦労している俺に同情してか、居場所をこっそり教えてくれるのですぐ見つかるのは楽なのだが。

「ほら、書類仕事に戻りますよグルさん」

「あーいやだーやりたくないー」

駄々を捏ねているが、それでも歩いているので戻る気はあるのだろう。総統にしかできない書類もあるので、戻ってもらわないと国が困る。

「あ、トン氏！トン氏！ここのスイーツを買ってもいいか！？」

「ちゃんと仕事やってくれるならいいですよ」

やったー！と喜び店へ行く。自分はその少し後ろに立ち、何を買おうか悩む姿を横目で見ていると、視界に懐かしさを感じるものが写った。

少しハネっ毛な髪、自分より大きい目。その色は両方とも自分と同じ黒と赤。もしかして。確信となる前に彼は見えなくなってしまった。

「……トン氏？どうしたんだ？」

スイーツを買い終わったらしいグルさんが、遠くの方を見る自分に何があったのか聞いてくる。それに何でもないと返して、基地へと戻った。