・ ページ37
・
｢そのままの意味。｣
｢なにそれ。んーまぁちょっとだけ羨ましいな、とは思うかなぁ。｣
(嘘、本当はモヤモヤした。)
なんてことは言えないから笑ってごまかすしかない。
｢そう言うAちゃんだっていっぱい声掛けられたんじゃない？｣
｢うーんまぁそれなりに。｣
｢…だよね。｣
少しだけシュンとした素振りを見せた京本くん。
｢あの衣装、めっちゃ似合ってた。｣
｢え、ありがとう。｣
｢髪も。いつもと雰囲気違くて驚いた。｣
｢へへ、なんか恥ずかしいな。｣
｢ていうか今も。なんか隣にいるの落ち着かない。｣
そう言って彼は困った顔をして笑った。
体育館に着くともうステージイベントは始まってて私たちは三番手だから次の次。
ステージ袖に向かうと係の人がこっちですと案内してくれる。
とりあえずステージ袖に置いてあるパイプ椅子に座って待つことに。
｢ついに本番か〜早かったね。｣
そう笑いかけると京本くんがほんとにね、と笑い返してくれた。
｢明日もあるけど。終わっちゃうの寂しいね。｣
｢またいつでもできるよ。｣
｢そうだね。｣
その京本くんの言葉にこれで終わりじゃないんだ、ってちょっとだけ嬉しくなった。
不思議と緊張とかは全然なくてむしろリラックス状態。
隣の京本くんを見ても緊張している様子はない。
なんだかそれが私たちらしくて笑ってしまう。
そもそもあのカラオケでの田中くんの突拍子もない提案から始まってこうやって本当に実現できちゃってるのが凄い。
思えば音楽好きっていう共通点がなかったらここまで仲良くなっていなかったかもしれない。
田中くんと謎の開花作戦を立ててたのがすでに懐かしい。
果たしてこれが田中くんの言うところの成功になっているのかは分からないけど、彼は間違いなく前に進んでるし変わっていってると思う。
あの頃の自信なさげな京本くんはもういない。
｢じゃあ次、お願いしまーす。｣
そう係の人に呼ばれてステージ袖に立つ。
｢ん。｣
京本くんがスッと手を差し出す。
その手を掴むとそのままグッと引き寄せられて距離がゼロになった。
｢わっ、｣
背中をポンポンっと叩かれて
｢よろしくね。｣
そう耳元で囁いて離れた京本くんが優しく微笑む。
うん、と微笑み返して歩き出した彼の背中を追いかけた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1641人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紺(プロフ) - ぽむさん» わああ、ありがとうございます…！！頑張りましょう！！ (2021年6月19日 23時) (
レス) id: 55c78b94af (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ(プロフ) - 紺さん» わ！コメントありがとうございます！学生ならではのもどかしい恋愛を描きたかったので嬉しいです！笑 実は私も密かに紺さんの作品とても楽しく拝見させて頂いてます^ ^ お互い自分のペースで更新頑張りましょうね！ (2021年6月19日 9時) (レス) id: 923510c876 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - 移行おめでとうございます！！近づいたり離れたりする距離感についニヤニヤしながら読ませてもらってます笑 これからも更新応援してます*^^* (2021年6月19日 0時) (レス) id: 55c78b94af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽむ | 作成日時：2021年6月17日 1時
