空っぽな僕らのはじまり ページ8
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｢ん、｣
すこぶる目覚めが悪い。
いつ眠ってしまったのか今が何時なのかもわからない。
カーテンの隙間から差し込む光で日付を跨いで朝がきたってことは理解した。
もうすっかり日は昇っていて体感ではきっとお昼くらいだろう。
それより昨日私どうやってベッドまできたっけ？
｢…っ、痛、｣
ガバッと上半身を起こすと頭に鈍い痛みが走る。
とりあえずスマホを探そうと辺りを見回したとき異変に気付いた。
隣に、誰か……いる？
もこっと盛り上がっている左隣をみて一気に血の気が引いた。
チラッと覗く金色の髪に心当たりがなさすぎて咄嗟に自分の状態を確認すれば衣類は身に纏っていたことに安堵する。
そんなお決まり中のお決まり行動を自分がする日が来るとは思わなかった。
恐る恐る掛け布団をどけてみる。
｢んー、｣
もぞもぞと動く金色の物体がこちらに寝返りを打った瞬間、
不覚にも目を離せなくなってしまった。
カーテンから差し込む光に照らされるその姿がまるで天使のように美しかったから。
｢ん？起きたの？｣
やばい。まるで時間が止まったかのように見惚れてしまった。
薄目を開けた男が起き上がった私を見てそのまま目を擦りながら問い掛けてくる。
｢おはよー｣
半分寝たままふにゃっとした笑顔で言う男の顔を見て
鈍い頭痛と共に昨日の記憶がじわじわと蘇る。
｢おは、ようございます｣
そうだこの人は天使ではなく自称妖精男。
確か、大我って言ってたっけ。
昨日の記憶は断片的に覚えている。
だけどなんの会話をしてどうしてまだこの男がうちにいるのか全然分からない。
｢ねむー、まだ寝ようよ｣
呆然としている私の腕を引っ張る男の腕を軽く振り解いて立ち上がる。
とりあえず顔を洗いたい。
(うわ、最悪だ、やってしまった。)
洗面台の鏡に映るメイクも落とさず寝たせいでカッサカサの肌とボサボサの髪を見て溜め息がでた。
自己嫌悪とはまさにこのことだ。
服も昨日会社に行ったときのまま。
あの男をどうにかしなくちゃと頭の片隅で思ったけど
その前にシャワーを浴びたい欲のほうが勝ってしまってその間に考えればいっか、と自分を納得させて服を脱いだ。
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作者名：ぽむ | 作成日時：2021年7月25日 12時
