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碧の少年 ページ5

 
 
 
 
 

「....お前には分からないだろうな、俺の苦しみも、何もかも。


なのに口出しをしてくる、傍迷惑な話だ
その口、今すぐに黙らせてやろうか?」



『はは、やってみなよ。でもまぁ言っておくと今のお前でも私には勝てないよ』



「何を根拠に」



『経験の違いさ。踏んできた場数が桁違いだからね』





先程から苛立ちを隠そうともしない彼をカラカラ笑いこめかみにとん、と指で作った形だけの銃を押しつける





『例え君が幼い頃からカリムの傍で従者をやっていようともそれだけは断言してやるよ
上には上がいる、そして当然それは僕も同じ事

大体、勝てないということに根拠を求めるのならば君が僕を黙らせられるという事の根拠も無いだろう?』



「....余計なお世話だと言っている
実力云々以前の問題だな、人の話を聞け」





周囲には寮生たちがいて、何時でもこちらを殺せるように配列させられている


手始めに、と言って指をパチンと鳴らせば突っ立っていた彼らが膝から地面へ崩れ落ちる


それは一瞬の事で、流石の彼も驚いたようだ




組織では普通なのだけれど、まぁいいだろう






『なぁ少年よぅ。君はカリムの事を「傲慢」だと言ってたよな?』


「......。」


『それじゃあ言わせてもらうが、私から見て君は実に「高慢」な人間だ
意味は分かるだろう?だって君は君曰くとても優秀なのだから!


そして知っている筈だ、「傲慢」も「高慢」もさして変わらない、似たような意味だと


おぉ、つまり君たち結局似た者同士じゃあないか!仲良くしたまえよ!』



「ッいい加減にしてもらおうか!!」







蛇が威嚇してくるけれど気にならない
それを否定するっていうことは自覚があったということなのだろう?
本当に馬鹿だなあ、お前






『バイパー少年、君は今まで実力を隠してきた
そして心の内で思っていた、成績優秀者達を見て


「俺の方が」って


確かに君には素質がある、けれどそれは過信しすぎと言わざるをおえない事だよ


全力を出していないから尺度が分からない、本気でぶつかればどうなるか、想像はできるけれどやってみた事はないから、でも自分が勝つに決まっている



だって本当の実力はこんなもんじゃないんだからって



そうやって膨らんだ過剰な自信が今の君だ』






『それに君は君の主人の力も見定めきれちゃいないようだしね』





「.....カリムの?」





『ねぇ君、泥水を飲んだ事はある?』






 
 
 
 

碧の怒り→←碧の雷



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作者名:あしな | 作成日時:2020年7月26日 17時

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