嘘を破って【ツイステ】 (ページ27)

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外伝　砂の冠編ページ27

　
『一番を嫌う人』と『一番になりたい人』のお話
誕生日というよりは二人が絶対関わるだけ

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『んぉ』

「....何だよ、勝手に人の顔みて驚くんじゃねぇ」

あくる日の私は、あるモノを採取しに温帯ゾーンにやって来たのだがそこの茂みに少し開けた空間があり、入ってみればレオナ先輩がいた

いつも思うのだが何故植物園にいるのだろう。サボるなら自分の部屋に閉じこもればいいのに

まぁそこまで仲が良いわけじゃないので聞かないでおこう、と通りすがろうとするがふと目の端に芝生の上に置かれたチェス盤が映る

「コレ、見るの初めてなのか？」

『え？あぁ、いや』

そんなに見つめてたかな、と慌てて否定するように手を振る

『....それを使って色んな事を教えてくれる優しくて素敵な方がいて、それを思い出しただけです』

顔を綻ばせて言う私を見て興味なさげにふぅん、とだけ答えた先輩

「あぁ、何で普通に笑ってるのかと思ってたが....色々あったんだったなぁ？ホリデー中に」

含みのある言い方をしてにやりと笑う
えぇ色々ありましたとも

「全部を終わらせたなら、あのぽやぽやした女じゃなくてお前が王になるのか？」

『そこはまだ決めてませんが、私は嫌ですね
人の上に立つべき人間だとは思えない』

「なる資格があるのに使わないってか？」

かつては一番を目指していた王族の彼が深い翠の瞳を向けてくる

私は両手を大きく開いて、その上にいつの間にか白と黒、それぞれの駒を置いている

『....汚れた人間の手と真っ白な人間の手、どちらが多く支持される？どちらが世間体がいい？どちらの方が国事を安心して任せられる？

仲間が死ぬのを助けられなくて、守れなくて、そしてそいつが王になって国が襲われたら沢山人が死ぬかも！その時自分も手にかけられるかも～！！

.....そんな危険性がある奴よりは平和的解決が出来そうな彼女を、多くの人がとるでしょう？

一部は裏の人間。共感やら裏での仕事が無くなると困るとやらでの支持でしょうね

資格があろうとも大多数の意見の前には負ける
それに、私は一番が嫌いですから』

だから私じゃなくていい、そう言って右手に持っていた黒の駒を握って見えなくする

『一番になりたいだなんて、持っている人が望む、贅沢で恵まれた事だよ』

黒の駒がぽろりと掌から落ちたけれど、私はそれを見下ろすだけで拾いはしなかった

　
　
　
　
　