嘘を破って【ツイステ】 (ページ21)

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もうひとりの主人公ページ21

　
　
　
　
「.....煩いなぁ、お姉ちゃんはいつも話が長い」

「あら、自由になったからって反抗もできるようになっちゃって」

伸ばした手をぱちんと叩き返された彼女は目を見開いて、ちっとも笑ってない目で笑う

「そうだねぇ。....死ぬことが自由だなんて僕、知らなかったよ。素晴らしい発見だね」

嬉しそうな、泣きそうな弟を横目に手に持った人形を肩に乗せてつつく

それを見つめるその表情はそれこそ慈愛に溢れた聖母のようで、弟はそれに深く溜息をつく

「それも連れて行くの？いや別に反対する訳じゃないけど、取り上げられたりしないのかな」

「それ、じゃなくてこの子、よ。ちゃんと生きてる、レディなんだからね。女の子に優しくしない男は嫌われるわよ」

「今更モテたいとか思わないけどね
今までも思ったことはないし」

くだらない事を話ながら数百年ぶりに再会した姉弟は言い合いながら移動し始める

行き先が何処かなんて彼らにしか分からないこと

「あの子には幸せになって欲しいと、珍しく思うわ。可愛らしい見た目をしてるもの」

「自分の生き写しみたいな子を褒めると自分を褒めてるのと同じ事だって気づいてる？」

「見た目はそっくりでも中身は違うわよ
私達のキャラが強すぎたのか反動で天使と悪魔の両方を練りこんだような子になってしまって

まぁ、だからこそ成せたのでしょうね
相当変わり者で切れ者、程よく人間程よく人外」

肩に乗せた人形に話しかける

「だからこそ惹かれて、みんな堕ちてゆく」

意志のないはずの人形の、濁りなき眼が
きらりと円を描くように輝いて暗闇を照らす

その瞳は小さな碧い月のように見えた

「そうよねぇ、リリちゃん。」

胸に穴の空いた少女
五体満足の少年
使い古された人形少女

三人は今度こそ、本当の意味でその命を終えた

　
　
　
　