嘘を破って【ツイステ】 (ページ20)

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もうひとつの物語ページ20

　
　

　
ぱちぱちぱち

真っ暗な空間に拍手の音が響く
拍手を送る彼は来客に目を細め笑ってやる

「望んだ終わりじゃないか、姉さん
美しい姉妹愛を見せつけられた気分はどう？」

「どうとも思わないわ。時代が変わるにつれて人を殺す事に特化した組織じゃなくなるのはまぁ仕方がないとして、やはり女性の知恵と根気いうのは凄いのね。

大昔から誰一人絶やすことなく日々記録を綴り続けて、少しでも状況を変えようと足掻いて

これじゃあまるで私が悪者、そうじゃない？」

「事実そうだろう？数えるのも嫌になるくらい人を殺してきて、でも本当に殺したい人は見つからなかった、悲劇だね」

真っ白な修道服を着た少女
しかしその胸の中心は何かに貫かれたように真っ赤に染まり、奥の黒い背景が見える穴がぽっかりと空いていた

旅をして、嘘をつき続けた時の鬘も無くなり自分本来の髪を見た彼女は自虐的に笑う

「あぁ、いつ見ても忌々しい髪色だわ
あいつを思い出してしまう、嫌な色

....私だって、たった一つ、願っただけなのにね
あいつを殺したいって、その為だけだったのに
私たちは願うことすら許されないのかしら

壊れたかった訳じゃない。壊したかった訳じゃない。普通に生きられるなら、私だって....」

美しい碧の瞳を怒りや悲しみ、憎しみの様々な色に染め、美しく透き通る白と青の髪をぐしゃぐしゃにして苦悶に美しい顔を歪ませる

少年はどう声をかけるべきか、さらさらの金髪を、少女が羨むその色を揺らしながら悩んで

「....分かってたよ、お姉ちゃんが僕達の為にしてくれたことだって。

当時はあいつのこと、知らなかったけどお姉ちゃんが怒る意味も分かる

怒らないわけないよ、あんなの
だからこそ、一人で全部を背負わせてごめん｣

「....っあー、謝らないでよ、私が、惨めじゃない

あ～あ、あいつはこの手で殺すって決めてたのに、勝手に寿命で死んでるし....

それでも許せないし会いたくないけど
地獄でも殺せたりしないのかしら？」

言って二人で笑う姉弟
ふと弟が姉が持つモノに気がつく
ぼろぼろで、でも可愛らしい人形
さらさらの金髪と濁りない碧の瞳をしている

「拾ったのよ、これが何かは貴方も分かるでしょう？ずっとあの子の体内に寄生してたんだから

自己犠牲を疑問に思わず自身の理想を作っては泣き、仲間を亡くしても前を向かなければいけない

貴方が嫌がる『可哀想』、その形よね」

　
　
　
　