碧と承和色 ページ19
絨毯に刺さったナイフやクナイ、手裏剣、鍼などをぷつん、と丁寧に抜いていく
ちなみにネロは行方不明
あいつ絶対帰りよった、許さねぇ
そんな不満をぐるぐる頭で渦巻かせてたら横にはいつの間にか妹がいた
他の人達は違う所の清掃に回っているようだった
気でも使われたのかな、なんて
むず痒い事すんなよな
『一番初めの、ネロの手持ちの暗器を操っていたの、アリシアでしょ?』
「あ、はっ、はい。そうです」
何時まで緊張しているんだか、そう笑ってやりたいが生憎こちらも緊張気味
そりゃあ何年もろくな会話を交わしていなかった姉妹が急に打ち解けられるワケないだろう
ただでさえ邪険にしてきて傷つけてきたんだ
心のどこかでまだそんな資格無いって思ってる
でも変わらなきゃ、多分一生心から笑えない
『強く、なったね。うん、頑張ったと思いマス』
彼女の方は見ずに右手で顔の下半分を覆いながら左手で草むしりするみたいに暗器を抜いていく
「…!え、あ、ありがとうござ....ううん、あり、がとう...?」
なるべく敬語を外さなければ、という制約を課した訳ではないのだが努力する彼女
その姿がたまらなく愛おしくて思わず微笑む
こんな近くにいられるようになるなんて、頑張った甲斐があったよね
「....A様は、私が大切だと言ってくれましたけど。私は貴方が大好きです
だからこそ、大好きで大切な貴方に傷ついて欲しくないのは私も同じなんです
なので、これからは楽しいこと、沢山経験して欲しい。A様....ううん、お姉ちゃん、いつも顰めっ面で、どこか怒ってるみたいで
楽しくないのかなって、たまに出てくるパーティでもずっと不機嫌そうだったから...
貴方が私に幸せを願ったのと同じように、いや。
私はお姉ちゃんの幸せを私自身がつくりたい」
「それがこんな私の恩返し...勿論、迷惑じゃなければですが」
今まで柔らかい笑みで語っていたかと思えば最後に慌てて、自信を無くしていく
この人格を形成してしまったのも私、かな
ほんの少しの罪悪感にも笑いながら首を振る
『ありがとう、でも、私今まで楽しくなかった訳じゃないんだ。組織の人達も同じ人間で、大事な仲間だ
だから、私たちが笑って仲良くしてるのがきっと今まで関わってきた皆への恩返しになるだろ?』
そう言えば今度こそ二人で笑い合えた
二人の距離は身長の差と反比例に近づいたような気がした
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作者名:あしな | 作成日時:2020年7月26日 17時