嘘を固めて【ツイステ】 (ページ40)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:56,268 hit

太陽だった人ページ40

「おねーちゃん！おねーちゃん！みて！！」

『ん、どうしたの？』

「これね！おねーちゃんとりあをかたの！」

一人の幼女が自分よりも少しだけ背の高い少女に駆け寄り一枚の絵を見せ、舌っ足らずに言葉を発する

とても上手とは言えない、ただの落書きのように見える

しかし少女はにっこりと笑って嬉しそうにする

『わぁ！とっても上手！こっちがわたしよね？』

きれいに描いてくれてありがとう、と柔らかに微笑む姉と無邪気に笑う妹

ふわり、と不意に吹いた風に二人の姿が消えて成長した二人が入れ替わるようにでてくる

「おねぇちゃん！おねぇちゃん！きょうはなにをしてあそぶの？」

『んー？本読んでるんだけど....ま、いっか。いつでも読めるもんね、本は逃げないけどリアはすーぐ逃げちゃうから』

木陰で本を読む少女に話しかけ姉を揺さぶる妹
姉は怒ることも無く本を大事そうに閉じて手に持ち立ち上がる

姉は幼い見た目にそぐわずしっかりとした言語を使っている事からそこそこ頭が良いのだろうと思われる、のだが

『そうだね、じゃあリアとわたしのメイドさんにイタズラでもしよっか？』

「いたずら！たのしそーぅ！！」

唇に人差し指を添えてにやりと悪戯小僧の様に怪しく笑う姉にわくわくと飛び跳ね妹

小さな妹の耳元で作戦を伝えれば幼女はさらに激しく飛び跳ねて瞳をきらきらとさせる

にっと笑い合う少女達もまた霧のように消えて
何もない空間が残った

しばらくすると先程よりももっと大きくなった二人が

「おねぇちゃん....なんだかね、リア、さいきんすぐ眠くなっちゃうの」

ごはんたくさん食べたからかなぁ、とうとうとする幼女に姉は頭を撫でて抱き上げる

『そっか、じゃあ、お部屋まで運ぶね』

「.....ゃ、おねーぇ、ちゃんとあしょぶぅ」

そう言いながらも大きな瞳は半分くらい閉じられていて

姉はふっと笑って幼女を抱き上げたまま軽く揺さぶる

その姿は仲の良い姉妹、とも見えるが片方が大人びているからか親子のようにも見える

心地よい揺れに妹はあっという間に寝息をたてはじめる

『....ねぇリア、わたし、これでいいのかなぁ....？』

この聡明な姉が弱音をはいたのは、寝ている妹に向けてのこの言葉が初めてで

その言葉を熟睡している妹が聞ける訳もなく

その言葉は誰にも届かず、彼女の心と真反対の青空に溶けていった

　