嘘を固めて【ツイステ】 (ページ28)

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碧の月ページ28

　

『失礼致します、学園長』

「あぁ、思っていたよりも、早かったですね」

ゆっくりと、音を上げずにドアノブを捻り部屋の中へと足を踏み込む

グレートセブンと呼ばれる方々の姿が写る飾り鏡を仮面越しに眺めている学園長に腰を曲げ礼

声をかけると今気づいた、とでもいうように振り返りこちらを見てくる

「貴方の右腕さんからお知らせがありまして
明日の昼前＿＿学園は授業中ですが、会議があるそうです」

彼が小さな紙を差し出してくるので受け取り折りたたまれたその用紙を開けば見慣れた彼女の字体

「もちろん授業は公欠扱いですから貴方の成績には傷ひとつ、つきませんよ」

『ご丁寧に説明頂き有難うございます、では明日は闇の鏡を使用しても？』

許可しなかったら貴方あの距離どう帰るんですかと呆れる彼にそうですね、と言う

ただ一言、返しただけなのだが彼は少しだけ、顔を俯かせてデスクを手でそっと撫でる

「結局、貴方の意思は変わりませんでしたね」

頑固なところは昔から変わらない、と言うから私はそんなに長く生きていないと返す

確かに小さな頃から色々な国を連れ回され......連れて行ってくれていたから付き合いは長いけれど

だからこの人は他人じゃない、けど身内でもない

.....まぁ身内でも関係ないけど

『はい、学園長には本当に良くして頂いていたのでとても申し訳ないです』

明日の会議資料を改めてまとめますのでこれで失礼致します、と一方的に会話を遮断し部屋を後にする

私は確か今十七歳、だっただろうか
あの時から十一年くらい

　

ようやくこの時が来たのか

　

もうすぐやってくるその時まであと少しの苦労

　

子供一人照らせない月の、最後の時を

　