灰緑の追想 ページ42
涼しい風の吹く中庭
そこにぽつんと存在するベンチに腰掛けぼんやりと空を見上げる
風に揺らされちらちらと視界に入る林檎の木の葉
確か彼女と初めて会った時もここだったか、と思い出す
初対面で林檎を額に落としてくる奴だなんて彼女じゃなくてもなんだコイツと思うだろう
もし自分だったら関わりたくない
まぁ関わらなくても女子生徒という事で注目を集める人だった
必然的に王族だの禁書庫だのの噂は勝手に耳に入ってくる
だから林檎を落とした時はやばい、と思った
額を抑え蹲る彼女に急いで声をかけ謝罪するとその美しい顔をあげ何を思っているか分からない無機質な瞳を向けてきた
正直初めてその瞳を見た時怖いと思った
恐ろしい程に美しく、何も映さない瞳は目があっているはずなのに自分じゃない遠くの誰かを見つめているのでは、と思った
彼女は瞳を軽く伏せ大丈夫です、とだけ言い立ち上がるとベンチの上にのっかっていた林檎を手に取った
回したりしながらじっと見つめていたかと思えばこちらを向き林檎を食べたかったのか、と聞いてくる
まぁ、そうッスねと言うとなるほどと言って何故か林檎を木から一つ取りこちらに差し出してくる
なんだ、と思い固まっているとさっきのは落ちてしまったから私が食べる、と言い出した
はぁ？と思わず声がもれるが聞いてないのかマイペースにベンチに腰掛けて＿＿＿
『どうせなら一緒に食べませんか？』
「え」
瞳を閉じ過去を振り返っていたらあの時と全く同じ台詞が隣から聞こえてくる
驚き見てみれば姿勢よく座り林檎を差し出しながらこちらを見つめる彼女＿＿＿Aがいた
『だって、美味しいから取っていたのでしょう？私も少しばかり興味があったので丁度良いです』
もう片方の手にも林檎を持ち微笑みかけてくる彼女は去年と全く同じ様に話しかけてくる
......えっと、とりあえずエスパー？
自分の顔が引き攣るのを見て彼女は笑みを深くした
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぬか漬け(プロフ) - しゃけさん» 良かったです〜！安心しました笑 面白いだなんて言ってくださってもうすっごく嬉しいです！読んでくださって本当にありがとうございます！！ (2020年7月27日 21時) (
レス) id: 068881a9cc (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ(プロフ) - ぬか漬けさん» そうです〜！いえ、読みにくいとか気に入らないとか、そんなことではないので大丈夫です。お話としては面白いから好きですし、ただ単に、理由があるのかなあ…と疑問に感じただけです笑 (2020年7月27日 21時) (レス) id: 9cd1e2c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
ぬか漬け(プロフ) - しゃけさん» 間の文章の最後に「。」をつけないという事でしょうか？それでしたら私のクセ、というのと文字数制限の関係でして、気にならせてしまって申し訳ないです。もし論点が違いましたらお知らせ下さい！ (2020年7月27日 20時) (レス) id: 068881a9cc (このIDを非表示/違反報告)
しゃけ(プロフ) - 間のナレーション？なんか第三者語り？みたいなやつに句点をつけないのだけが、本当にそこだけがすごく気になるw (2020年7月27日 20時) (レス) id: 9cd1e2c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あしな | 作成日時：2020年4月12日 20時
