くち ページ2
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｢あぁ、今日もかっこいいよ、さかたん｣
さかたん、なんて呼んでるけど高校2年になった今でも話したことは無い。多分、彼に認知されていない。
彼が所属する軽音楽部の活動場所である第2音楽室。
そこの窓は廊下側にもあるので、バレずに撮影するなんて楽勝。
｢よーし、頑張ってるさかたん、たくさん撮るぞ｣
バレない。バレるはずない。
その時の私はそう思ってたんです。
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あれ、今日、いつもより人数少ないな。と、私は気づいた。
いつもはさかたんと、月崎志麻くんと折原センラくん。あと1人、浦田渉くんがいるはずなのに、今はいない。
｢委員会なのかな、まぁ関係ないけど｣
｢なぁ、何してんの？｣
真後ろ。
ほんとに耳のすぐ後ろからその声は聞こえた。
このまま振り向いたらやばい、
終わる。
＿＿＿＿ガシッ
｢ちょっと、こっち来ようか｣
反射でふりかえった私の目に映るのは、目が笑っていない笑顔の浦田くんでした。
手首を掴まれ、携帯が落ちそうになったところを拾う彼。
あぁ、神様、酷い
【丸山、終了のお知らせ】
◎◎◎
｢で、これどうする？｣
浦田くんに連れてこられたのは音楽室からある程度離れた、誰も使っていない多目的室。
彼はさっき私から奪った(語弊がある)スマホを自分の顔の横で揺すった。
机に座り足を組む浦田くんはとてつもなく偉そうで、私には大魔王に見えた。
｢あのっ！誰にも言わないでください！！｣
｢は？｣
｢えっと、さかたん...じゃなくて！坂田くんには秘密にしててください。嫌われたくないです｣
｢ほう、よく言うねぇ...｣
こんなことしてるくせに。と言いながら、彼は私の携帯のメディア欄をどんどん見ていく。
｢これ、ほとんど坂田じゃん、君やばいね。名前は？｣
｢えっ、あの、｣
｢な、ま、え｣
｢あっ、丸山Aです｣
｢へぇ、Aちゃんね。｣
浦田くんはなぜか、ニッコリと笑った。さっきとは違ってちゃんと目も笑っている。
｢あの、本当に坂田くんにだけは言わないでください。お願いしますほんとに...｣
｢ほーん。わかった｣
カシャ
静かな多目的室に響くシャッター音。
何が起こったかと言うと、私のスマホで浦田くんが自撮りをした。
なんなんだこの人。
じゃあさ、
｢口止め料ちょうだいよ｣
彼は私の方へ近づきながらそう言った。
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作者名：城本 | 作成日時：2018年9月28日 21時
