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逃避行をしたら ページ7

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少しつらくて、そう、ほんの少しだけ、逃げたかったんだ。




《Axia Krone》


「……逃げちゃおっか」

ふと零した“逃げたい”という言葉。
半分冗談、半分本気のその言葉は彼の耳に拾われていたようです。
彼の言葉が二人しかいない部屋に声が木霊して、アナタの心を少しずつ絡めとっていきます。
もちろん、二人一緒に。そう続けて呟いた彼の青色は、蝉の声が響く空と同じ色をしていました。




《Lauren Iroas》


「ん、そ。んじゃあ俺も仕事休んで一緒に逃げるわ。」

……サラッととんでもないこと言ったぞこの警察官。
彼の衝撃の発言にアナタが固まっていると、彼は座り込んでいたアナタの腕を掴んで立ち上がらせます。何故、と聞くと、好きな人のそばに寄り添いたいのは当たり前のことだ。と歯が浮くようなセリフが返ってきます。でも似合ってしまうんだからタチが悪いですよね。




《Leos Vincent》


「辛気臭いですねぇ。折角の遠出なんですから笑うくらいしなさいよぉ。」

あなたのリクエストに沿って、少し遠くの街まで来たアナタと彼。
逃げてしまった罪悪感から少し浮かない顔をしているアナタにそう言って頬を抓る彼は、少し拗ねているようにも見えます。
でも悪態をついていても、なんだかんだ言ってちゃんと逃げ道を用意してくれる彼の優しさがどうしようもなく嬉しくて、愛しくて。思わず笑みが零れてしまったアナタを見る彼の眼差しは、これ以上ないくらいに優しいものでした。




《Oliver Evans》


「好きなだけ逃げて良いと思いますよ。別に逃げたらいけない理由もないわけですし。」

誰もいない街はずれの始発に乗り込んで、二人しばらく揺られていると、彼はぽつりとそう零します。
彼にとっては何気ない呟きでしたが、こんな意味もない逃避行に本当に彼を付き合わせてしまって良かったのか、自分だけ逃げて良かったのか、ともんもんとしていたアナタにとっては救い以外の何物でもありません。
せきを切ったように溢れ出てくるアナタの涙を、彼は優しく笑いながら拭ってくれることでしょう。




《Lain Paterson》


「Aさん!!こっちだぞ!!早くーー!!」

ぴょんぴょんと跳ねながらアナタの一歩先を行く彼女。
その姿がまるで幼い子供のように見えてしまって思わず吹き出すと、彼女もつられて吹き出します。
どこまでも透き通るような青い空に、蝉にも負けない二人分の笑い声が響いて。今この瞬間だけは誰よりも、何よりも満たされていました。

終わり←片思いをされたら



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はわわ - 地味に悲しいところがまた良いですね (2022年4月29日 16時) (レス) @page7 id: c4ae4b8110 (このIDを非表示/違反報告)
不破狂 - えぁ…!(尊死)最高にきゅんきゅんします…!!!比喩や言い回しも素敵なので見ていて飽きない素敵な作品で大好きです!!これからも僭越ながら応援させていただきます! (2022年1月5日 1時) (レス) @page6 id: fca4037d70 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:木比灘 | 作成日時:2021年12月17日 16時

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