#171. 最後に。 ページ25
屋上の鍵は開いていた。
こっそり、音を立てないように開けて、顔だけを出してみる。
……そしたら。
確かに相葉先輩はいたけど、彼が向き合ってるのは二宮先輩じゃなかった。
上野先生……。
相葉先輩は卒業証書の黒い筒を握り締めてて、
先生の顔は……光が邪魔で、よく見えない。
「……あの時の俺は必死でさ」
相葉先輩の声が、微かに風に乗って聞こえた。
聞いちゃダメだと思いつつも、ドアを半開きにしたままの体が動かない。
「だから一番大事なのんちゃんの気持ちを考えてなかった」
「……」
「ごめんね。酷いこと、して」
文化祭の前。
相葉先輩は、上野先生に無理やりキスをしたと言っていた。
「俺すげぇのんちゃんのこと好きだった」
「……相葉くん」
「いいよ、何も言わなくていい、知ってる、結婚するんでしょ」
スン、と相葉先輩が鼻をすする。
「おめでと、のんちゃん。幸せになってね」
「……相葉くんも……卒業、おめでとう……」
「あははー、のんちゃんに会えなくなるなら俺は全然めでたくないや」
よく見たら、相葉先輩の手は小さく震えていた。
「相葉くん」
「……うん」
「髪色、何回言っても直さなかったね」
相葉先輩の綺麗な茶髪が風に揺れる。
上の方はもう、かなり黒くなってきてる。
「のんちゃんの印象に残りたかったんだもん」
「……」
「あれ以来……言ってくれたこと無かったけどね」
笑ってた方が楽だって言ってた、相葉先輩。
今も、笑えないのに笑ってるのかな。
「大学生になったら黒にしようかなぁ」
「……」
「ねぇ、のんちゃん」
グスッ、と相葉先輩が鼻をすすった。
「俺のこと、忘れないでね」
実らない恋をしたあなたに、いつかまた、素敵な恋が訪れますように。
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琴子(プロフ) - めろん。さん» わぁーおかえりなさい、受験お疲れさまでした!!(遅いか！笑) ただいま絶賛続編書き書きしております、書きながら作者もニヤニヤしちゃう() 月日を経て段々デレデレしてきちゃう先輩の姿を早くお届けしたいな！ 嬉しいコメントありがとうございました(*.ﾟωﾟ) (2019年1月19日 23時) (
レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
めろん。(プロフ) - 1年前受験生の時にずっと読まさせていただいてました。1年前ぶりに帰ってきてすぐに読んできました！少しずつ変わり始める二宮先輩の行動にニヤニヤが抑えきれませんでした。今頃どうしてるんでしょうか笑続編楽しみに待ってます！ (2019年1月19日 12時) (レス) id: 22a17272cb (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 愛渚さん» わぁ…コメントありがとうございますーめちゃくちゃ嬉しいです( ；∀；)コメントに勇気いるの分かります！ でもいつでも大歓迎、わくわくしながら待っておりますので気軽に送って戴けたら嬉しいですー(*.ﾟωﾟ) 続編、一刻も早くお届けできるよう頑張りますっ！！ (2019年1月8日 10時) (レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
愛渚(プロフ) - はじめまして。ずっとコメント書きたかったのに、恥ずかしくてなかなか書けませんでした。いつもキュンキュンしながら読ませていただいていました。続編、楽しみにしております！ (2019年1月8日 2時) (レス) id: 83e74fc252 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - かりんさん» 終わってしまいました！！ 最後までお疲れ様です！！！ やーそこまで感情移入していただけて作者冥利に尽きる゜゜(´O｀)°゜ 最高な読者さんたちに支えていただいて完結することができました！ 沢山読んでいただいて、本当にありがとうございます！ (2018年11月5日 18時) (レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴子
| 作成日時：2018年9月8日 0時
