#131. 虚しく素敵な。 ページ17
モカ先輩はしばらくの間何も言わなかったけど、少しだけ開いた窓から吹き込んできたぬるい風がカーテンを揺らした時、ぽつっと呟くように言った。
「私、ずっと一人だったの」
明るいグレーのカラコンを入れた目が、透き通って光ってるみたい。
「ひねくれてたのよね、一人でも構わないって。同じように一人だったニノくんを見て勝手に仲間だなんて思ってたけど、ニノくんは相葉くんと一緒にあっち側の世界に行っちゃった」
ぷぅ、と頬を膨らませる横顔は、女子から見ても文句なしに可愛い。
こんな人に好きだなんて言われて、なんで断っちゃったんだろう。
「でもその世界は『あっち側』なんかじゃなかった。一人を選んでた私をニノくんは一緒に連れてってくれて、そこでいろんなことを知った。友達といることの楽しさとか、私もみんなも同じただの高校生だったんだってこととか。当たり前のことだけど、ニノくんが教えてくれた大切なこと」
だから彼の側にいたいの、と微笑んだモカ先輩と目が合って、思わず逸らしてしまった。
「留学する前に気持ちだけでも伝えておこうと思って、告白した。今はそういうの興味ないって断られちゃったけど」
「……」
「向こうで沢山素敵な人に会って、有り難いことに私を好きだって言ってくれる人もいたんだけど。やっぱり私はニノくんといたい、ニノくんの世界に連れてってほしいんだ」
それは本当に本当に素敵な想いで、
一瞬自分のことを忘れて、この人に幸せになってほしい、なんて考えちゃった。
「私は三日後、向こうに帰る。それまでにニノくんにもう一度思いを伝えるわ」
モカ先輩が立ち上がって、「今教室に彼を待たせてるの」と言った。
何も言えない。
スカートを握り締めて、手元を見るので精いっぱいだ……。
「じゃあね、Aちゃん。話せて良かった」
目に涙が溜まってきて、慌てて深く俯いた。
泣いちゃダメだ、涙を見せたら負け、泣いたら……泣いたらダメ……。
モカ先輩が保健室を出て行って、扉が閉まる音が静かに響いたその瞬間。
堪え続けていた涙が大粒の雫になって、スカートに小さな水たまりを作った。
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琴子(プロフ) - かりんさん» ありがとうございます！！ ヒロインちゃんまで褒めていただけて嬉しい限り…。続編も考えておりますので、しばしお待ちください！！！(*.ﾟωﾟ)(*.ﾟωﾟ) (2018年11月4日 13時) (
レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
かりん - あ、もう最高ですね((( ニノくんかっこよすぎるし、ヒロイン可愛いし元気だし素直だし!!!プレゼントのとことか二人とも可愛すぎて発狂しました← あ、ちなみに一気読みしました!! 可愛く､かっこよく、面白いこの作品を!これからも投稿してください!!応援してます!! (2018年11月3日 19時) (レス) id: 26fab03e05 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 橘花さん» そのセリフね、書いてる私もドキドキしてました。←← ちょっと照れてる先輩可愛い…好き…( ；∀；) 体育祭編、気合い入れて書いてますので(いつも入れてるけどね?!笑)、ぜひともお楽しみに待っててくださいな(*´艸`*) (2018年5月27日 22時) (レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
橘花(プロフ) - 誕生日プレゼント渡せてよかった！！しかも喜んでもらえるし、使ってた私物もらえるし！！「恥ずかしいからやめろや」にきゅんときました。。楽しい時間〜！普段怠けてるのにここぞで本気出しちゃう先輩かっこいい。リレーたのしみです！ (2018年5月27日 9時) (レス) id: c285604a1b (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - ゆりさん» とりあえずタッチペンは神棚に飾りましょうかね。毎日拝んでね。笑 えええなんですかその素敵エピソードは( ；∀；)( ；∀；)実は私、こんな妄想繰り広げてますけど中高女子校で(；▽；)いいなぁそんな青春…現実に欲しかったなぁ…うわぁぁん｡･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴子
| 作成日時：2018年4月6日 14時
