駆け引き ページ30
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眼鏡を掛け、胡散臭そうな笑みを浮かべた男が続ける
「つまりだネ、私達は君に恩立てしたい。
要求を飲んでくれるのなら君の質問にも出来るだけ答えるとしよう。何が何だか未だ解っていないだろうからネ」
ふむ、成程。これが望みで俺を助けたわけか。
………と思ったが、治したと思しき肝心のAちゃんは『その手があったか…!!』という顔をしてたので最初からそれが目的だったわけでも無さそうだ。
聞きたいことも山ほどある。何しろ命を助けて貰ったらしい。自分でもあの状況は危なかったとわかる。
要求の内容にも寄るが、変に刺激するよりは飲むのが得策だろう 。
「要求しだいで飲もう。何を望む?」
「なに、簡単さ。君の組織に入るのをチョットお膳立てして欲しいだけサ」
「組織に?…………まぁ、良いだろう。では質問を」
まず、何者なのか。何が目的なのか。
どうやってあの致命傷を短時間で治したのか。
それは自分の想像を絶するもので信じ難い内容だった。
普段の俺ならば鼻で笑って一蹴しているような内容だった。
が、それはどうも状況を鑑みるに疑いようの無い事実らしい。
「降谷さん!!」
そうこうしている間に部下が迎えに来たようだ
「それじゃあ、宜しくネ。また会おうじゃないか、バーボン君」
「…ああ、ではまた」
彼らの姿はスグに入り組んだ路地に見えなくなった。
まるで夢だったかのようだが、少し残った傷が事実だという証拠を残していた。
「…遅いぞ」
「すみません、なにしろ道が狭くて。彼らは?」
「さぁな、俺にも良くわからん…が、面白そうな奴らだ」
「はぁ…?」
「早く帰るぞ。今日は少し…疲れた」
「え、ああ、はい。では出しますね」
ゆっくりと車は動き出した。
彼等の中で唯一つけこめそうなのは彼女くらいか。いや彼女も油断はできない。
だが彼女の周りは更に付け入る隙がまるで無かった。
降谷は流れて行く景色を眺めながら自分の気が重くなっていくのを感じた。
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羽具(プロフ) - 内容が全て好きです!!更新ゆっくりで無理なさらない程で頑張ってください!応援しています! (2023年3月31日 0時) (レス) @page41 id: a3fd2bf9c9 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ - 好きすぎて好きです() (2020年7月20日 23時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 好きです〜!更新頑張ってください! (2019年8月20日 14時) (レス) id: a6030a90d7 (このIDを非表示/違反報告)
ねこみや梓(プロフ) - ページ5の立香ちゃんの自己紹介のところの苗字、"藤村"じゃなくて"藤丸"だと思います。 (2018年11月29日 20時) (レス) id: 57da8f7b25 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ - クー・フーリンズ出してください。更新頑張ってください!!!! (2018年11月25日 16時) (レス) id: 44aac82ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霧禍 | 作成日時:2018年7月29日 16時