戦国夢物語【短編集】 (ページ10)

今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:18,834 hit

▼愛をこめて(石田三成) ページ10

昨日、ネットサーフィンをしているときに見つけたゲームを、彼とやってみようと思う。

「ねぇ、やろうよ！三成！」

「何故俺がやらねばならんのだ！」

「『愛してるゲーム』、楽しそうじゃん」

『愛してるゲーム』がしたい理由は簡単。
普段、彼は好きとか愛してるなんて言ってくれない。
だから、本当に私のことが好きなのか、不安なのだ。

絶対に言わせてやるもん。

「お願い、一回でいいからさ…」

両手を合わせて懇願していると、三成は嫌そうな顔をして「わかった」と一言。

やってもらえるだけ幸せですよ。

「やる代わりに、負けたら罰ゲームというのはどうだ？」

「え、嘘……」

どうしてこういうときは意地悪なのかな。
何、罰ゲームって。
ビクビクしながら向かい合わせに座って、三成の顔をじっと見つめた。

「じゃあ、私からやるね」

「ああ」

やっぱり緊張してしまうなぁ。
三成の余裕そうな表情を見ていると、少し腹が立つ。
何故そんなに平然としていられるのだ。

「……三成、愛してる」

「Aは馬鹿だが、そういうところも愛してるぞ」

さらっと言うので照れるのなんの。
恥ずかしすぎる。
だけどここで退く私じゃない。

「三成の、口の悪いとことか、愛してる」

「……」

三成は少し黙ってから、椅子と共に私の方へ近づいてくる。

そして耳元でぼそっと言った。

「Aの全てを愛してる」

「えっ…あ…」

顔がどんどん赤くなっていくのが、自分でもわかった。
耳元で言うのは反則だろう。心臓がどきどき音をたててうるさい。

「Aの負けだな」

「う………」

罰ゲームだ。一体どんなことをさせられるだろう。
自然と視線が下にいく。

「罰ゲームは……そうだな、ずっと俺の側にいることだ」

口角を少し上げて、此方を見つめている。
そういうの、反則だと思うんだ…。

「ずっと……？もし、私がいなくなったら？」

「必ず連れ戻す」

「…も、もし、遠くに行っちゃったら…」

「何処までも追いかける」

変なことを聞いたかもしれない。
けど、それだけ彼から離れたくないから。
私のことを、好きでいてくれる三成のことが、私は大好きで。

嬉しくて涙が出そうだから、三成の胸に顔をうずめた。

「俺は、お前を離す気はない」

「うん」

「俺と生きろ」

「うん…！勿論だよ！」

少しでも、私のことが好きじゃないかもって疑ってごめんね。

これからもずっと、君の側で──…。