戦国夢物語【短編集】 (ページ3)

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▼天下分け目の(石田三成) ページ3

「俺は……必ず……」

「うん、うん。分かってるよ、三成」

「必ず、秀吉様の天下を守るために、勝つのだ」

゛関ヶ原の戦い゛

いつからだろう。石ころが転がり始めたのは。

秀吉様がお亡くなりになられてから？

家康の行動が目に余ると、三成は家康を討つ計画をたてて。

友である私と吉継は、何度も止めようとした。
無謀だと。貴方は大将の器ではないと。

だけど、無理だった。

秀吉様に続き、前田利家殿も亡くなると、石ころは止まらなくなって……。

三成率いる西軍と、家康率いる東軍は衝突。

今に至るというわけだ。

関ヶ原は霧で包まれている。
此処の村の人たちは逃げていった。

三成が家臣に「もうすぐ此処で戦が始まるから逃げろ」と伝えさせたのだ。

全く、誰に対しても優しい奴。

「俺の判断は、間違っていただろうか」

三成は震える声でぽつりと呟いた。

「どうしたの、弱気になって」

「いや、何でもない」

間違っていたか、それとも正しいのか。
それは私にも分からない。

だけど、秀吉様がやっとの思いで築いた天下。
それを横取りしようとする家康は許せない。

勿論、それを守るためと言って戦をする三成も。

『皆が笑って暮らせる世』を、たった今崩そうとしているのだ。

「……総大将の毛利輝元は来ないし」

「ああ、そうだな」

「殿、この左近がおります。いざというときは頼ってください」

隣にいた左近が、三成にそう言った。
三成に左近はもったいないかも。

「私もいるんだから。三成は一人で頑張りすぎなのよ」

「……ふっ、そうだな。頼りにしている。愛すべき馬鹿どもよ」

「おや、殿がそんなことを言うのは珍しいですね。ま、殿のために頑張りますか」

「よし、私も行くよ」

左近は自分の陣へ戻っていき、私も前線に出た。

三成の志、必ず果たすために。

────
この前、関ヶ原古戦場に行ったので。

人気投票の時の三成の台詞を混ぜてみました。

三成が家臣に「逃げろ」と伝えて村の人たちが逃げたというのも実話らしいです。

どんだけ優しいんですか、三成さん。

それと、総大将は三成ではなく、毛利輝元ですよ。

間違える人が、私の回りに結構いるので。

石田三成の良さを、少しでも分かってほしくて書きました。

西軍、東軍共に、お疲れさまでした。

天国で和解してくれてたら嬉しいなんて。

西軍も東軍も大好きです。だから仲良くしてください。