戦国夢物語【短編集】 (ページ17)

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▼春は別れの季節(大谷吉継) ページ17

春とはいえ、まだ少し寒さが残っている。
そんな中、大好きな人と手を繋いで、学校から帰っていた。

「ねぇ吉継、もうすぐ卒業だよ」

「そうだな」

吉継にピッタリと引っ付いた。
寒さのせいだろうか。それとも、私が彼といたいからか。

そうすると、吉継は握っている手に少し力を込めた。

「卒業したくないなぁ…」

「何故だ？新しい学校に行けるのだぞ」

「それはそうだけど……」

私たちは、大学に行くことが決まった。
ただ、二人とも違う学校。
これからは一緒に通うことが不可能になる。
それが寂しくて、卒業するのが嫌だった。

「吉継ともっと一緒にいたかったの」

本音がポロっと溢れる。
それを聞いた吉継は少し驚いた表情を見せた。

大丈夫。大学に行っても、私たちは会える。
学校が違うだけ。
ただ、今のように一緒に通えないだけ。
一緒に…。

「吉継と離れたくない…」

涙が出そうになるのを堪えた。
ここで泣いたら、彼を困らせてしまうし、何よりこんなことくらいで泣くなと、心の中の私が言っているから。

吉継がピタリと歩くのを止めた。

どうしたの、と聞こうとしたのと同時に、手でいきなり視界を塞がれる。

「ちょっと待って、吉継……」

唇に温かい何かが触れた。
何か、なんて言わなくても分かると思う。

キスされたのだ、私は。
たった今。

初めてのキス。

「俺は離れていてもAを想っている。会えるときはなるべく会いに行く。そう決めている。だから、大丈夫だ」

彼の手が離れて、景色が見えるようになった。
私は恥ずかしさから上を見れず、俯いたまま吉継に手を引っ張られる。

さらっとそういう事を言うのはよくないよ、吉継。
あぁでも、そんな彼が好きなんだ。

もう不安なんてない。
私たちは、離れていてもお互いを想っているから。

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受験終わり、見事に合格していました。
春からの学校生活が楽しみです。

また連載を再開していこうと思います。
あと、新作も作る予定……。