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「…なんやここ」
目の前には朱色の綺麗な花がたくさん咲き誇っている。
さっきまで殺風景な林だとは思えないぐらい華やかだ。
「綺麗やろ？」
「…おう」
しかし、なんだろう。
この朱色の花を見ると、どこか懐かしい感じがする。
「丈くん、この花の名前知っとる？」
大橋がふとそんな事を聞いてきた。
「…分からん」
そう言うと、大橋は一瞬切なげな顔を見せた。だが、すぐ笑顔に戻った。
大橋は懐かしそうに花を見つめ、そっと触れた。
「この花はカランコエって言うんよ」
「カランコエ？」
大橋は朱色の花びらを優しくなぞり、話を続けた。
「小さい頃にな、ある人からここの花園を教えてもらってん。ここの花がすごい綺麗やからって」
大橋から自分の話をするのは初めてだった。
よほどこの“カランコエ”という花に思い出があるんだろう。
俺は、一歩踏み出して、花に近づいた。そして恐る恐る朱色の花に触れた。
「大橋にとって、ここは大切な場所なんか？」
俺がそう聞くと、大橋は「えっ？」と不思議そうに言い、じーっと見つめてきた。
「…なんや」
「いや丈くん、いつもなら僕の話適当に流すんに珍しいなって」
大橋に言われ、確かにそうかもしれないと思った。
いつもなら俺は、「そうか」「知らん」「は？」と大橋に返していた。
だが、何故だろう。もっとこいつの話が聞きたかった。それに“カランコエ”という花が気になる。
「お前が自分の話をするのが珍しいから」
俺は大橋に目を向けず、花に目を向けたままでいる。
「…大切な場所やで」
大橋がそう言った時、俺は花から手を離した。
「そうか。
…ここは綺麗な所やな」
大橋の目を見て言うと大橋の目が潤んだ。
突然の事すぎて、俺は「お、大橋？」と駆け寄った。
大橋はすぐ笑顔を取り戻した。どうして目が潤んでいたのだろう。
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みー＆りー - 更新待ってます！ (2021年7月27日 21時) (
レス) id: a16eac8d1e (このIDを非表示/違反報告)
ひまり - 今２周目読み終わりました！先が気になりすぎます！！忙しいと思いますが更新楽しみにしています！！頑張ってください！応援してます！ (2021年6月30日 11時) (レス) id: c53fc1f622 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - さしみさん» この作品を読んでくださりありがとうございます！これから少しずつ更新していくので読んでいただけると嬉しいです！ (2020年9月27日 10時) (レス) id: be4e5c9e55 (このIDを非表示/違反報告)
さしみ(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!お忙しいとは思いますがこれからも頑張ってください!楽しみにしています。 (2020年9月26日 21時) (レス) id: bf88c3a608 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます〜！精一杯頑張って更新します！！ (2020年3月1日 21時) (レス) id: be4e5c9e55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よる | 作成日時：2020年2月20日 20時
