구. 熱帯夜 ページ9
ミョンホくんとデートしてから数日後。あれから特に彼との進展はない。
私に対して好意を抱いていることは事実だと思う。だけど本人から好きだとはっきり言われた訳でもない。
「やっぱり遊ばれていただけなのかな…」
「俺に聞くな。直接本人に聞けばいいだろ」
「本当に女心が分かってない。だからいつまで経っても独身なのよ」
女心を理解出来ないウォヌに相談したのが間違いだった。いつまで経っても女の影が一切ない従兄弟に溜め息をつく。
「こんばんは〜。Aヌナ、いつものお願いします!」
「いらっしゃい、ジュンフィ。冴えない男も来てるよ」
誰が冴えない男だ、と私に文句をこぼすウォヌは軽くジュンフィと挨拶を交わす。ジュンフィは珍しく一人だった。そのままウォヌの隣の席へと座った。
「今日はお前一人なんだな」
「ミンハオは今日まで出張なんだ。さすがに出張終わりで疲れているのに誘えないでしょ?」
カウンター席に座る二人の会話に聞き耳を立てる。今日はミョンホくん居ないのか。まぁ、出張なら仕方ないよね。
「ヌナ、今日はもうあがりですか?」
エプロンを外し、私服姿で現れた私を見たジュンフィはそう口にした。普段はラストまで働いていることが多いからね。
「そうなの。どうしてもリアタイで観たいドラマがあって」
今日は毎週楽しみにしていたドラマの最終回。どうしてもリアルタイムで観たかった私はシフトの時間を短くしてもらったのだ。
二人に別れを告げ、お店を出れば夏の夜特有のじめりとした湿った空気が肌にまとわりつく。
道路を挟んですぐ目の前にはジュンフィ達が働いている立派なビルがそびえ立つ。そのビルの入り口付近に見慣れた姿を捉えた。
見間違える訳がない。絶対ミョンホくんだ。きっと出張から戻ってきたばかりだろうか。声をかけようか迷っていれば、もう一人の存在を確認した。
「えっ………リンリンさん?」
あとから来たリンリンさんと仲睦まじくお喋りしているミョンホくんに目を奪われた。何もかもスローモーションに見えた。まるで映画のワンシーンのように。
私はそのまま見なかったことにして歩き出す。涙は出なかった。きっと自分の中で腑に落ちたからだ。
しばらく歩いていると急に腕を掴まれた。何事かと思い振り向けばそこには一生顔も見たくなかった男がいた。
「よぉ、A。久しぶりだなァ」
にたりと笑う元旦那にじわりと嫌な汗が額に滲む。知っている、これはろくでもない頼みをするときの顔だと。
341人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
矢崎(プロフ) - ムルーアさん» ムルーア様、初めまして。コメントありがとうございます〜!!!甘め要素控えめですが、キュンキュンして頂けて良かったです(笑)Xのフォローもありがとうございます😊お話はまだ続きますので、引き続きお楽しみ下さい ❤︎ (3月30日 9時) (レス) @page15 id: 4e6327207d (このIDを非表示/違反報告)
ムルーア(プロフ) - 初めまして!めっちゃキュンキュンしました🥹🥹🥹Xもフォローさせて頂きました!素敵な作品ありがとうございます💕 (3月30日 9時) (レス) @page13 id: e97b81299d (このIDを非表示/違反報告)
矢崎(プロフ) - さくさくさん» さくさく様、ご愛読・コメントありがとうございます!!もしかしてX(旧Twitter)のアカウントでしょうか? @1__monmon__1 こちらをコピーしてもダメでしたか😭? URLで貼れるようにやってみます! (3月18日 21時) (レス) id: 54a4d2b70e (このIDを非表示/違反報告)
さくさく - 矢崎様、主人公視点でのお話完結おめでとうございます!!裏話楽しみにしています😊失礼ながらお聞きしたいのですが、アカウントを検索してみても矢崎様のアカウントらしきものが一つもなく、、、よろしければアカウントのURLを教えてもらえないでしょうか? (3月18日 19時) (レス) @page13 id: 8125d01b3c (このIDを非表示/違反報告)
矢崎(プロフ) - さくさくさん» さくさく様、コメントありがとうございます ❤︎ ランキングも有難いです😌ようやくハオちゃんを書き始めました〜!ずっと書きたい願望はあったので無事にお披露目できて嬉しいです!!さくさく様、我爱你✨💞✨ (2月25日 23時) (レス) id: 4e6327207d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:矢崎 | 作成日時:2024年2月25日 8時