팔. 臆病者 ページ8
「見て見て、あの二人モデルかな?」
「近くで撮影でもやっているんじゃない?」
ちらちらと視線を感じるが決して私に対してではない。
ミョンホくんとリンリンさんに向けての興味と羨望の眼差しだ。
きっと周りの人達は私とミョンホくんがデート中だなんて微塵も思っていないだろう。
「"えっと…ミンハオ先輩のお知り合いですか?"」
彼女、なんて可愛い単語は勿論出てこない。リンリンさんから見た私はミョンホくんの知り合い程度の人間に見えたのだろう。
「"そうです、彼が通ってくれている中華料理店の店員です。ただの知り合いです"」
私が突然中国語で返事をしたからリンリンさんは目を丸くさせていた。今、はっきりとミョンホくんとの関係を言葉で言い表せないことが悔しい。
「"…ごめんねリンリン。今、Aヌナとデート中だから"」
ミョンホくんが私の肩を抱き寄せ、リンリンさんにはっきりと告げる。その言動がどうしようもなく嬉しくて思わず口元が緩みそうになる。
「"!、ご、ごめんなさいミンハオ先輩。Aさんもデートの邪魔してごめんなさい。…っデート、楽しんで下さいね"」
泣きそうな顔をしたリンリンさんを私は見逃さなかった。彼女は早口でそう伝えると足早にその場から立ち去ってしまった。
「良かったの?久しぶりの再会だったんじゃ…」
「彼女の連絡先は知っていますし、会おうと思えばいつでも会えますから」
それより、と繋がれた言葉の先を聞くことが怖いくらいにっこりと笑ったミョンホくんと目が合った。
「僕、悲しかったです…ただの知り合いですとはっきり言われて…」
「そ、それは!言葉のあやというか、何というか…」
実際は少しむきになってしまい、嫌な言い方だと自分でも自覚している。だけどそんなこと彼に言える訳もなく口ごもる。
「…ふふ、ごめんなさい。少し揶揄いすぎました。冗談ですよ、本当にヌナは可愛いですね」
ミョンホくんは何度アラサーをときめかさせるつもりなの?さらりとそんな甘い言葉を吐ける男性は世の中にどれだけ居るだろうか。
抱き寄せられた肩がじんわりと熱い。この心臓の音は果たして彼にまで聞かれているのではないか。
これ以上、ミョンホくんのことを好きになりたくない。
昔ならジュンフィやミョンホくん達を眺めているだけで満足していたのに、今ではもうそれだけでは満足できない欲深い自分がいる。
本当はものすごく怖い。好きになってしまったら必ず別れがあることを私は知っているから。
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矢崎(プロフ) - ムルーアさん» ムルーア様、初めまして。コメントありがとうございます〜!!!甘め要素控えめですが、キュンキュンして頂けて良かったです(笑)Xのフォローもありがとうございます😊お話はまだ続きますので、引き続きお楽しみ下さい ❤︎ (3月30日 9時) (レス) @page15 id: 4e6327207d (このIDを非表示/違反報告)
ムルーア(プロフ) - 初めまして!めっちゃキュンキュンしました🥹🥹🥹Xもフォローさせて頂きました!素敵な作品ありがとうございます💕 (3月30日 9時) (レス) @page13 id: e97b81299d (このIDを非表示/違反報告)
矢崎(プロフ) - さくさくさん» さくさく様、ご愛読・コメントありがとうございます!!もしかしてX(旧Twitter)のアカウントでしょうか? @1__monmon__1 こちらをコピーしてもダメでしたか😭? URLで貼れるようにやってみます! (3月18日 21時) (レス) id: 54a4d2b70e (このIDを非表示/違反報告)
さくさく - 矢崎様、主人公視点でのお話完結おめでとうございます!!裏話楽しみにしています😊失礼ながらお聞きしたいのですが、アカウントを検索してみても矢崎様のアカウントらしきものが一つもなく、、、よろしければアカウントのURLを教えてもらえないでしょうか? (3月18日 19時) (レス) @page13 id: 8125d01b3c (このIDを非表示/違反報告)
矢崎(プロフ) - さくさくさん» さくさく様、コメントありがとうございます ❤︎ ランキングも有難いです😌ようやくハオちゃんを書き始めました〜!ずっと書きたい願望はあったので無事にお披露目できて嬉しいです!!さくさく様、我爱你✨💞✨ (2月25日 23時) (レス) id: 4e6327207d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:矢崎 | 作成日時:2024年2月25日 8時