今日も私はヒョンを演じる

〻MISAMO ページ35

「さーたん、スペシャルゲスト連れて来たで〜」

無事に紅白歌合戦も終わり、楽屋で一休みしていれば半開きされた扉から顔を出すももりんがいた。

「なぁに、ももりん。にやにやしちゃってさ」

ふふふ、と笑うももりんはそのまま楽屋に入ると彼女の後ろには私の大好きな彼がそこにはいた。

「サナ、お疲れ様」
「！、Aオッパ！？」

SEVENTEENの完璧長男、シノことAオッパ。同じ日本出身でもあり、私の大好きな人でもある。

「ミナもお疲れ様」
「ありがとうございます。Aオッパもお疲れ様です」

隣に座っていたみーたんにも声をかけるAオッパは相変わらず優しくて格好良くて素敵な人だ。

「お疲れ様ですオッパ〜！私に会いたくてわざわざ来てくれたんですか？」
「はは、サナに会いたくて来ちゃった」

私の冗談に欲しい言葉をさらりと言ってのけてしまうAオッパは本当にずるい人だ。

「さーたんはAオッパのこと大好きやもんな〜」
「ももりん！それは言わん約束や〜ん！」

私とももりんのいつものノリにも笑ってくれるAオッパにはきっと届いてはいない。

オッパ、本気なんです。本気でオッパのことが大好きなんです。

そんなこと言える訳もなく、こうしてももりんが私の為にネタとして笑いに変えてくれている。

Aオッパは私が精神的に辛い時期があったとき、ずっと支えてくれていた。

「大丈夫、大丈夫だよサナ。例え世界中がサナの敵だとしても、僕はサナの味方でいるから」

泣きながら電話したときもずっと電話越しに励ましてくれた。深夜でも朝方でもどんなときでも必ず電話に出てくれた。

それはもちろん私だけではない、ももりんやみーたんにだってオッパは同じことをしている。そんなオッパの優しさに惚れたのだ。

「…サナ、まだ完全に体調が万全じゃないんだから休める時にゆっくり休むんだよ」

私の頭の上にAオッパの優しくて温かい手が置かれる。オッパは気付いていたのだ、私の体調が万全ではないことに。

「オッパ…気付いてたんですか？」
「もちろん。サナのことはいつも見ているから」

オッパ、そんなこと言われたら女の子は誰だって勘違いしちゃいますよ？きっとオッパはそんなつもりではない。

「あ、ももりん！！動画撮ってるやろ！？」
「ん〜？なんのこと〜？」

にやにやしながら動画を回す彼女はきっと私たちのグループトークに載せる気だ。そしてメンバーから揶揄われるまでがいつもの流れでオチなのだ。

〻グループトーク→←第74回NHK紅白歌合戦

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す