今日も私はヒョンを演じる

ダンスチャレンジ！with ENHYPEN ページ30

今日はENHYPENのみんなとダンスチャレンジ動画を撮影する日。音楽番組を通じて連絡先を交換したソヌくんからのお願いに僕は快く二つ返事した。

「こんにちは、Aです。今日はよろしくお願いします」

練習室に入るとすでにENHYPENメンバー全員が揃っており、元気で気持ちの良い挨拶が返ってきた。

「Aヒョン！今日はよろしくお願いします！僕、すっごく楽しみにしてました！」

可愛らしい笑顔で僕の元へやって来るソヌくん。先輩からヒョン呼びに変わるくらい僕たちは親睦を深めていた。

「ソヌヤ〜！ヒョンも楽しみにしてたよ〜！」

ソヌくんに軽くハグを交わせば真っ白なお肌がほんのりと赤く染まる。なんだこの可愛い生き物は。

ありがたいことに彼はデビュー前から僕のファンらしく、I-LANDで初めて会ったときに熱弁され、ホシ達に揶揄われたことは今となってはいい思い出だ。

「そういえばみんなにお土産持ってきたんだ」

大きな紙袋をリーダーのジョンウォンくんに渡すと興味津々にメンバーが集まり、紙袋の中身を仲良く覗いていた。

「わー！！！一蘭のカップラーメン！！！僕、大好きなんです！！！」
「"A先輩、めちゃくちゃ最高です！"」

ジェイクくんの一蘭愛が伝わってきて僕まで笑顔になる。美味しいもんね、一蘭。日本出身のニキくんの日本語を聞くと母国を思い出して自然と心が温まる。

「これ！僕の好きな日本のお菓子だ！」

みんなの好きなお菓子や食べ物を事前にチェックしといて正解だった。

ジョンウォンくんが嬉しそうに何枚も写真を撮ってくれていた。インスタにあげてもいいですか？と聞いてくる少年らしい笑顔が眩しい。

「"A先輩、本当にありがとうございます！"」

ジェイくんの独学で習得したという日本語は日本人顔負けの発音に感心する。わざわざ僕に日本語でお礼をするあたり真面目で礼儀正しい子だ。

わいわいと賑わう輪の外側からソンフンくんもにこにこと楽しそうに笑みを浮かべていて安堵しかけたが…ただ一人、グループの長男であるヒスンくんは浮かない顔をしていた。

「…ヒスンくん、体調悪い？大丈夫？」
「！、いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

咄嗟に笑顔を作ってみせるヒスンくんだが、その笑顔の裏には何やら抱えているものがありそうだ。

こういうときにお節介な性格な出てしまう。僕の悪い癖だ。

撮影が終わった後、それとなく聞いてみよう。僕が先輩として最大限できることを彼にしてあげたい。

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