〈 キスシーンはお断り 〉 ページ26
どたばたと練習室に近付く複数の足音に対して隣にいたスングァンは「え、なに…」と少し困惑した声を漏らす。
「Aヒョン！！ドラマのオファー断ったって本当！？」
「どうして断っちゃったの！？ヒョンのドラマ観たかったのに！！！」
練習室のドアを勢いよく開けたホシとドギョムの声量の大きさに思わず耳を塞ぎたくなる。近くにいたウジの「うるさい…」と顔を顰める姿に苦笑いをこぼす。
「いつそんな話出てたの？」
「この間、日本で仕事があったときだよ。まぁ、断ったけどね」
ミョンホからの質問に日本での出来事を思い出す。ありがたい話ではあったけど、カムバック前で忙しいこの時期だ。
今回はタイミングが悪かった。どのみち今回のオファーは断るしかなかった。ストーリーを聞いてすぐにそう判断したのだから。
「そんなぁ…ヒョンの俳優デビューがぁ…」
「ちなみにどんなドラマだったの？」
項垂れるホシとは違い、好奇心旺盛なドギョムの問いになんて答えようか頭を悩ませる。
「恋愛系？ミステリー系？どのヒョンも見てみたいな！」
断った話だと言うのに盛り上がるドギョムに言葉を濁す。役柄を教えたら一体どんな反応をするだろうか。
「んー、恋愛ドラマなんだけどね…」
「恋愛ドラマ！？もしかしてヒロインを巡る主人公！？それともライバル！？」
ヒートアップするドギョムにますます言いづらくなる一方だ。周りのみんなも興味津々な様子で僕たちを見てくる。
「マネヒョンから何も聞いてないの？」
「マネヒョンが詳しくはAヒョンに聞いてみなって」
いっそのことならマネヒョンの口から言ってもらった方が楽だった。途中まで言ったなら最後まで言ってくれても良かったのに。
これ以上は埒が明かない。観念した僕は素直に出演する予定だったドラマを説明することにしたのだ。
「僕がヒロイン役だよ」
「………え？ヒョンが、ヒロイン？」
ぽかんと口を開けて思考停止しているドギョム。どこからともなくペットボトルを落とす音が聞こえてきた。
「……それってつまり、Aヒョンと知らない男が、恋愛するってこと？」
「相手役の人は日本では人気急上昇中の若手俳優さんだったよ」
今回メガホンをとる監督が僕の女装姿を見てオファーしてくれたらしい。何でも監督のイメージにぴったりだとマネヒョンから教えてもらった。
僕より適任な女優さんがいると思うんだけどなぁ、と口に出すと同時にガチャリと練習室のドアが開いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1249人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
矢崎(プロフ) - さくさくさん» そうなんです…🐶ペンなのでシニュ君気になっていたんです…！（わんこ属性好きになりがち）でもジフン君書くときにたくさん動画を見ていたらジフン君の魅力にも沼りそうです🫠そのときは随時報告しますね（笑） (2月25日 23時) (
レス) id: 4e6327207d (このIDを非表示/違反報告)
矢崎(プロフ) - さくさくさん» この度はリクエストありがとうございました ❤︎ まだまだTWSの特徴が把握できず、ほぼ私の妄想です（土下座）さくさく様の推しであるジフンくんをメインで書かせていただきました！みんな内向的な所が可愛いですよね😌（笑） (2月25日 23時) (レス) id: 4e6327207d (このIDを非表示/違反報告)
さくさく - スキズがスンミン寄りとのことだったので、勝手に私の中ではTWSの推しはシニュ君かな？と思っているのですが、推しメン是非教えてください😊今回は本当にありがとうございました〜！！ (2月25日 21時) (レス) id: 8125d01b3c (このIDを非表示/違反報告)
さくさく - 矢崎様…!!改めてリクエストお答えしていただいてありがとうございます😌2度目のリクエストにもかかわらず引き受けて下さって...しかも私の推しのジフン君で書いてくださって本当にうれしいです!! (2月25日 21時) (レス) @page44 id: 8125d01b3c (このIDを非表示/違反報告)
矢崎(プロフ) - わんわんさん» わんわん様、ご愛読・コメントありがとうございます！！その展開はまだ先になると思いますが、徐々に書いていく予定です😌 それまでどうかお待ちください（土下座）今後の展開も是非お楽しみください〜！！！ (2月24日 23時) (レス) id: 2395726f09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：矢崎 | 作成日時：2024年1月12日 20時
