今日も私はヒョンを演じる

〻👼🏻 ページ14

昔から俺とAヒョンはカラットから仲良し姉妹だとよく言われてきたがはっきり言ってイヤだった。

だって俺は男でAヒョンは女。仲良しカップルだと言われた方が嬉しいに決まっている。そんな事、口が裂けても言えないけど。

「眉間に皺寄ってるよ」

Aヒョンに指で眉間を優しく突かれる。どうやら無意識のうちに皺を寄せていたみたいだ。

「ミンギュと喧嘩でもしたの？」
「…してない。何でミンギュなの」
「喧嘩するほど仲が良いって言うからさ」

くすくすと笑うAヒョンにムカついたからヒョンの腕を掴んで自分の隣に座るよう強引に誘導する。

隣に座ったヒョンを確認してから俺はAヒョンの太腿を枕代わりに寝そべる。機嫌が悪いからしばらくは絶対に動かないからね。

「ご機嫌斜めだね」
「ヒョン、しばらく動かないで」

はいはい、と俺を宥めながら優しい手つきで頭を撫でられる。完全にいじけた息子を宥める母親の図だ。

「今のジョンハニヒョンには近寄らない方が身の為だ…」
「おい、ミンギュ！おま、やめとけってば！」

スングァンとホシの騒がしい声が聞こえる。あいつらは小声を知らないのか。せめてこっちに聞こえないように話せないのか。

どうせミンギュは俺とヒョンの様子を写真か動画に収めてあとで見せびらかせて俺を揶揄うつもりだろう。

そうしたらお前が酒強いくせに酔ったフリしてAヒョンにずっと甘えていた動画を拡散してやるからな。覚えておけよ。

「相変わらず賑やかな控え室だね」

独り言のように呟くヒョンにあえて返事はしなかった。

「…最近、体力不足が目立ってきてさ。ホシ達に迷惑かけてるんだ。長男なのに情けないよ」

ヒョンは俺がいじけている時や不機嫌な時に限って弱音を見せてくる。俺が黙って聞くことを利用して独り言のように消化してゆくのだ。

男女で筋力も違えば体力だって違う。逆にAヒョンは今までよくついてきて来れたと思う。それはヒョンの地道な努力があってこそなんだ。

「たまに思うんだ、僕なんかいない方が…」
「それ以上言ったらAヒョンでも怒るよ」

いつもは黙って聞いているはずの俺が急に口を挟むものだからヒョンは目を丸くさせていた。

「ヒョンは俺たちにとって必要な存在なんだ。勝手に消えたりしたら地獄の果てまで探しに行くから」
「…ふふ、ハニなら探して来てくれそうだね」

当たり前だろ、俺が一番最初にAヌナを見つけてやるさ。どんな手を使っても、ね。

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