【あんスタ】綺麗な人 2【男主】 (ページ19)

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英智の屋敷の花瓶に飾る用の花を摘まなければ、と思い出した聖は温室に向かうために廊下に出た。すると、廊下で瀬名泉と話していた薫が聖を呼び止める。

薫「聖ちゃん、話したいことがあるんだけど、、、いいかな？」

特に急ぎでもないため、いいよ、と返すと屋上に連れていかれる。人に聞かれてはいけないことなのかな、、、と呑気に考え、屋上に来たのに俯いて黙り込んでいる薫に声をかけた。

『どうしたの？』

声をかけられ、顔を上げた薫は悲しそうな顔をしていた。

薫「あのね、他に好きな子が出来たんだ。だから、、、別れて欲しい」

急に別れを切り出されたが、、、聖は全く動揺していない。全く動揺されていないことに逆に薫が動揺するほどに。

『わかった。じゃあ、、、温室行かないとだから、僕はこれで。』

あまりにあっさりしていて、逆に薫がフリーズしてしまう。

薫「ま、待って！それだけ、、、？」

そう聞くと、聖は少し考えるような動作をし、薫に訪ね返した。

『その子、可愛い子？可愛い、、女の子？』

カミングアウトするタイミングを見失った薫は、こく、と頷く。聖は『そっか』と言って微笑み、今度こそ身を翻して屋上から出ていった。

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まさか動揺もされずにあんなにあっさりと別れられるとは思っていなかった薫はこっそりと物陰から温室を覗く。
聖は鼻歌を歌いながら花を摘んでいる。そして摘んだ花の香りを嗅ぎ、ふんわりとした笑顔もみせた。
まっっっっっったく別れたことなんて気にしていない様子にショックを受け、薫はその場を立ち去ろうとする。こんな終わり方は嫌だが、、、聖に気をつかわせるのはもっと嫌だから、身を引こうと思ったのだ。

ここから立ち去ろうと身を翻した時、薫の耳に誰かの嗚咽が聞こえた。
ここ周辺にいるのは自分と聖だけだ、、、。つまりは、今泣いているのは聖ということになる。
薫が振り返ると聖は花に顔を埋めて泣いていた。

『大好きなんだけどなぁ、、、』

絞り出したような声は震えていて、、、そうとう辛そうだ。

『甘え方教えて貰っても、、これじゃ意味ないじゃん、、、』

動揺していないのかと思っていたが、我慢していたんだな、、、と薫は胸が痛むのを感じた。
くだらない嘘で泣かせてしまったのが申し訳なくて、情けなくて、、、聖の元に駆け寄れない。

『やだ、、、他の人のところに、いかないで、、薫くん、、』