嫌いな君に口づけを…

嫌い 8 ページ10

「…真崎は今日、風邪で休むそうだ」

今日、真崎が高校を休んだ…担任が黒板の欠席欄に彼女の名前を書く。

俺は1つだけ空っぽの席を見ると、彼女の姿を其処に描く…昨日真崎に会った時…自分は彼女に嫌われていると分かっていた、けれど…其れでも…

透「………」

また会えて、話せて嬉しかった…真崎は3年前と何も変わっていなかった、只俺の事を嫌っている以外は…当たり前だよな。

あんな酷い言葉をぶつけたんだから、嫌わない奴の方が如何かしている…

「真崎さんが風邪なんて、珍しいね…」

「でも昨日から元気がなかったから、もしかしたら其の時に体調を崩していたのかも…」

そんな事を考えていると、クラスの奴等が小さな声で口々に話していた…次の瞬間…俺は席を立ち上がると、担任に向かって言う。

透「先生、気分悪いんで早退します」

早口でそう言い終わると、鞄を持って教室を飛び出す…突然の事に担任もクラスメイト達も呆然と其の光景を見ているだけだった…

透「…ごめんな、真崎…」

そんな言葉が口から出てきた…彼女に今更誤ったってもう遅い、許されない事だって分かっている…だけど其れ以外俺に何が出来る?

真崎…まだ俺がお前を好きだと言ったら、お前は益々俺を嫌いになるよな…だから言わないよ、けれど…せめて謝らせてほしい。

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