嫌いな君に口づけを…

嫌い 29 ページ31

蓮見君が『有り得ない』と言った表情を浮かべる…あれだけ『嫌い』って言ったから、信じられないよね…。

A「信じられない…?だけど、嘘なんかじゃないよ…」

透「…お前、何言ってんだよ…俺を好きって…」

私の身体を離すと、蓮見君が俯きながら尋ねる…声は微かに震えていた…信じられないなら、信じるまで何度でも言うよ

A「嘘じゃない、本当に貴方の事が好きだよ…好き、大好き…」

気持ち悪いって、思われちゃうかな…?だけど嘘じゃなくて本当だって、どうか分かってほしい…。

次の瞬間、蓮見君が私の事を抱き締めた…まるで壊れ物を扱うかの様に優しい力だった

透「…っ…馬鹿だろ、人が折角…想いを消そうとしていたのに…台無しじゃんか…」

A「…え?蓮見君…?」

私は慌てて蓮見君の顔を見る、その顔は先ほどまでの辛そうな笑みではなく…3年前と同じ…優しい笑みだった、彼は抱きしめる力を強くする。

透「真崎の事が、好きだ…消したくても…消せなかった…」

その言葉を聞いた瞬間、私の目から涙が零れる…哀しい涙ではなく嬉しい涙が…

蓮見君がそんな私を見ると、抱きしめる力を弱めて瞼に軽く口づけをする

透「…しょっぱいな、涙…」

少し意地悪な笑みを浮かべて、彼は私の頬を優しく撫でる…私は恥ずかしくなりながらも彼に向かって言った。

A「…っ…蓮見君、大好き…」

ー完ー

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