嫌いな君に口づけを…

嫌い 12 ページ14

透「………」

びっくりした…『ありがとう』と真崎に言われた時、嬉しくて思わず抱き締めてしまいそうになった。

俺は彼女の部屋を出ると、ドアに凭れて1つ息を吐く…あんな可愛い顔で礼を言うとか真崎の奴…

透「…反則だろ…」

…他の奴に言われても嬉しいって思うけど、好きな子だと嬉しいだけじゃ上手く表せない…今の俺の顔、絶対赤いよな。

透「真崎に見られなくて良かった…」

こんな顔、絶対真崎に見られたくないし…俺は床に座り込むと自分の髪をくしゃっと掻き混ぜる…

かなり危なかった…あの時、嬉しくて愛しくて自分の気持ちを彼奴に伝えてしまうところだった。

透「…ったく…彼奴、馬鹿だろ…」

ちょっとは俺の気持ちも分かってくれよ…いや、分かる訳ないか…真崎は俺の事なんか嫌いだからな

戻れる事ならあの頃に戻りたい…幸せで、2人とも笑っていた懐かしいあの頃に…だけど何れだけ願っても、時間は戻らない…決して。

透「…俺、本当に最低な男だな…」

自分の阿保さに呆れてくる、自分で振った女を忘れられずにずっと想っているとか…有り得ないだろ…だけど、それでも…俺は彼奴の事が…

透「……好きなんだ…」

俺は蹲ると小さな声でそう呟く…このドアの向こうに真崎がいるのに…あぁ如何か、今の俺の言葉が彼女に聞こえていませんように。

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