正体(side Joshua) ページ48
JS「海ってこんなに大きかったっけ」
ポツリと口から出た言葉はなんともマヌケだった。
隣に居る彼女なそんな僕を見て、くすりと笑ったり媚びたりもせずただジッとこちらを見つめていた。
JS「どうしたの？」
『それは私のセリフですよ。どうしたんですか？』
その瞬間、柔らかい微笑みで僕を見つめるその瞳がたまらなく怖くなった。
全て見透かされてるんじゃないか。自分の心の内に秘めている、形容も出来ないこのモヤモヤとした薄汚れた感情を彼女には全て見透かされてるんじゃないかと思って背中が冷や汗で湿った気がした。
JS「…僕はどうもしないよ」
『別に無理には聞きませんけど…私も前ジスさんに話を聞いてもらって凄く心が楽になったのでお返ししたかっただけです』
JS「そう…」
海に向かって歩いていく背中は小さいのに、僕より逞しい。
怖い。
得体の知れない恐怖に足が竦む。
君は一体何者なの？本当にただのそこら辺に居る女の子なの？
『海、見ないんですか？』
夕暮れの陽の光を浴びて彼女の元から色素の薄い瞳は、橙を吸い込んで琥珀色のガラス玉のようにキラキラと、でもどこか奥ゆかしく輝いていた。
JS「…ねぇ、君は一体何者なの？」
馬鹿げている。頭がおかしいと思われてもおかしくない、そんな質問を真顔で投げ掛ける僕に彼女はまた微笑んだ。
『天使の羽』
恥ずかしげもなく、自分をそう表現する彼女を笑い飛ばしてあげたいのに出来ない。
一見意味不明な言葉のように聞こえて“天使の羽”はこの上なく彼女を表現するのにピッタリの言葉だったから。
ジョンハンという未熟な天使を空まで羽ばたかせる、天使には必要不可欠な存在。それが彼女なのは一目瞭然だから。
『ジョンハンは私が居なかったら死んじゃうから。羽がないと天使も飛べなくて堕ちていくだけ。私はジョンハンを堕とさないようにしてる人…ですかね』
JS「じゃあ僕は？僕はジョンハンにとって何？君みたいに羽にもなれない、ジョンハンみたいに天使にもなれない僕は何？」
認めるよ、ジョンハンを救ったのは君。
ジョンハンに憧れてついて来たのは僕。
ジョンハンに求められるのは君で、僕はあの頃からずっとジョンハンの背中を追うだけ。ジョンハンを求める事しか出来ない凡人だよ。
ジョンハンが羨ましくて、そんなジョンハンを虜にする君が羨ましくて、僕は君になりたかった。
『…さぁ？』
悪戯に微笑む君が心底憎らしい。
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すい(プロフ) - ワバー手練でさん» お返事遅くなってしまいましたごめんなさい！そう言っていただけて嬉しいです(泣)ありがとうございます(；；) (2022年10月11日 14時) (
レス) id: 153a5cc26b (このIDを非表示/違反報告)
ワバー手練で(プロフ) - 読み入っちゃって一気に読んじゃいました＞ ̫＜ 本当に面白いですㅠ-ㅠ (2022年8月19日 22時) (レス) @page39 id: 39c16bc362 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - apricot384さん» お待たせ致しました(泣)待っていてくださりありがとうございます！またよろしくお願いします！(^^) (2022年5月20日 18時) (レス) @page30 id: 52a215b46f (このIDを非表示/違反報告)
apricot384(プロフ) - 再開ありがとうございます！おかえりなさい꙳★*ﾟ楽しんで読ましていただきます。無理せずでいいので更新よろしくお願いします！ (2022年5月10日 22時) (レス) id: 5c0405314d (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - apricot384さん» コメントありがとうございます！そんなに楽しみにしてくださってありがとうございます(^^)♡励みになります！頑張ります！ (2022年2月26日 0時) (レス) id: 52a215b46f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すい
| 作者ホームページ：http://twitter.com/sui_no_heya
作成日時：2021年9月10日 22時
