不気味な月 (side Jeonghan) ページ6
ソファーに座りながら何も考えずに窓から覗く月を見ていたら、世間では丑三つ時なんて呼ばれる時間帯になっていた。
蒼白い光が眩しくて鬱陶しい反面、嫌味な程綺麗な
堪らなく不安になって思わず電話を掛けると、ツーコールで出た彼女は心底楽しそうに笑っていた。
『今ね、月が綺麗なんだよってハニに電話しようとしてたんだけど遅いしやめよって思ったらハニから掛かって来たんだよ!凄くない?』
JH「…会いたい」
言わないつもりだったのに、Aの声を聞くと内に秘めた何もかも溢れてしまう。
『何かあった?』
JH「何も無い…けど会いたいって…思っただけだからごめん、気にしなくていいよ」
『迎えに来て、ハニ』
あぁ、本当に嫌になる。
いつもこうして俺が欲しい言葉をなんの躊躇いも無く言ってしまうお前が怖い。堕ちる所まで堕ちた感情がさらに深く溺れていく。
JH「待ってて」
こんな真夜中でも、Aに会えるとなれば途端に気持ちは明るくなる。
同情でも何でもない、愛情が込められた声でトーンで名前を呼ばれる度に愛おしくてたまらない。
急いでバイクを走らせてAの家の近くまで行くと、彼女は月に照らされながら俺を待っていた。
JH「危ないから家の中で待っててよかったのに」
『ハニに会えるってなったら居ても立ってもいられなかったから出て来た!』
丸い頬を撫でると、より一層笑顔になる。
居ても立ってもいられないのは俺の方なのに。
Aにヘルメットを押し付けて、
JH「月、デカい」
『だね。綺麗だし』
俺の手を握る小さな手は温かくて、その小さな温もりを1つ残らず俺の中に取り込んでやりたくて自分の人より冷たい手で包むと、少しずつ体温が移るようにじんわりと熱を持っていく。
JH「月見てたら不安になった。なんかAが居なくなる気がして怖くなった」
『居なくならないよ。ずっとハニの傍に居る』
JH「嘘だ、どうせお前も居なくなる」
こんな事を言ってしまうのも月のせいだ。
だから許して。
お前が俺から離れないって確約を結ぶまでは、夜はお前の存在さえも信じてやらないってこと。
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うい(プロフ) - 更新待ってます、! (4月11日 22時) (レス) id: b4144fdbab (このIDを非表示/違反報告)
犬こそ正義(プロフ) - ↓癒し係〜のお話です! (4月11日 20時) (レス) @page17 id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
犬こそ正義(プロフ) - 作品一気読みしてます!!家政婦の話、続き読みたいのでぜひパスワード教えてください。。😭 (4月11日 20時) (レス) id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - この作品の世界観が私は大好きです!更新お待ちしております! (4月3日 21時) (レス) id: 2f9e5d75fb (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - ソヒさん» コメントありがとうございます^^夢小説というサイト?アプリ?は存じ上げず、この作品も占ツクでしか連載をしておりませんので恐らく違う方だと思います…֊ ̫ ֊՞ ՞ (3月20日 10時) (レス) id: 153a5cc26b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すい | 作者ホームページ:http://twitter.com/sui_no_heya
作成日時:2023年5月2日 16時