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ページ13

そこから先はあまりよく覚えていない。
彼女と一緒に居た、小綺麗にスーツを着こなしたお爺さんが彼女を抑えて、高級そうな車に暴れる彼女を押し込んだとこまでは覚えている。

何が起こったのか、彼女が誰なのか確信は持てなかった。
でも雨水に打たれる身体と、ズキズキと痛む頬にまるで”現実だよ“と告げられているような気がして、動けなかった。
ただ怖くて、周りに人が居ない空間で、彼女の黒い瞳と異様な空気が怖くて怖くて、目を開けてまだ彼女が居たらどうしよう。とかそんな事を考えると、立ち上がれなくて座り込んだまま雨に打たれていた。


WN「A、起きて。こんな所に座り込んで何してるの?」


怖くて堪らなくて、加えて雨のせいで寒さに襲われていた時目の前にしゃがみ込んだのは、1番見慣れた顔だった。
ウォヌの紺色の大きな傘が私達2人ごとすっぽりと覆った。


『……ウォヌ…』


WN「水遊びにしては過激だね」


あまりにウォヌが普通に微笑むものだから、恐怖と安堵が一気に押し寄せた。
私に背を向けてしゃがんだウォヌの背中に乗ると、ゆっくり歩き出す。
私のせいでウォヌの背中はどんどん濡れていくけど、文句1つも言わずに彼はただ無言で歩いた。


『ごめん……ウォヌ』


WN「何が?」


『濡れたから……私のせいで……』


WN「よかった、大きめな傘買っといて」


特に詮索もせず、かと言って怒ってるようなそんな気まずい空気も出さずに彼はゆっくりと歩く。
それが有難くて、でも申し訳なくてまた勝手に涙が出て来たけど、ウォヌはそれさえも分かっていたのか「人間誰でも雨に濡れたい時もあるね」なんて言った。
あまりによく分からない発言に少し吹き出すと、ウォヌも一緒に笑った。


『ありがとう、ウォヌ』


WN「別にさ、付き合ってるとか付き合ってないとかそんなの置いといて、俺はAが大切だから。幼馴染として。上手く言えないけど…やっぱりAには笑ってて欲しいから…うん」


さっきまで怖かった雨音も、冷たかった体温も全てがゆっくり少しずつ溶けていく。
ウォヌとの時間のようにゆっくり、ゆっくりと。


『ありがとう…ありがとうしか言えないけど、ありがとうね。』


雨は強くなるけど、優しさに包まれていく。
芽生えた恐怖を詰むようなそんなウォヌの優しさが嬉しくて申し訳なくて、でもきっと『ごめん』と謝るとウォヌは寂しそうにするのを知ってるから。
だから今は『ありがとう』しか言えないけど。

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うい(プロフ) - 更新待ってます、! (4月11日 22時) (レス) id: b4144fdbab (このIDを非表示/違反報告)
犬こそ正義(プロフ) - ↓癒し係〜のお話です! (4月11日 20時) (レス) @page17 id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
犬こそ正義(プロフ) - 作品一気読みしてます!!家政婦の話、続き読みたいのでぜひパスワード教えてください。。😭 (4月11日 20時) (レス) id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - この作品の世界観が私は大好きです!更新お待ちしております! (4月3日 21時) (レス) id: 2f9e5d75fb (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - ソヒさん» コメントありがとうございます^^夢小説というサイト?アプリ?は存じ上げず、この作品も占ツクでしか連載をしておりませんので恐らく違う方だと思います…֊ ̫ ֊՞ ՞ (3月20日 10時) (レス) id: 153a5cc26b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:すい | 作者ホームページ:http://twitter.com/sui_no_heya  
作成日時:2023年5月2日 16時

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