女神か悪魔か ページ11
灰色の雲が空を覆って、湿った空気がまるで身体にまとわりつくように肌を撫でた。
こんな日はなんだか嫌な予感がして、早く帰りたいけど生憎今日は委員会があるらしい。
ハニも今日は用事があるから、1人で帰るのか…なんて他人事のように今にも降り出しそうな雲を見上げた。
ヨヌ「A？どしたの？」
『雨が降りそうだなって思って』
ヨヌ「確か天気予報でも言ってたよ。傘持って来た？」
『一応カバンに折り畳み入れてるから大丈夫。ヨヌこそ持って来た？』
ヨヌ「今日はミンギュと帰るから相合傘するんだ〜！」
楽しげにハシャぐヨヌを見て、頬を緩めた瞬間に空が光って割れるような音が鳴る。
バリバリと響く不快な音に頭が痛む。本当にツイてない。
ヨヌ「こりゃはやく帰らなきゃだね」
『うーん、でも私委員会あるし…』
ヨヌ「そっか…気をつけて帰りなよ？」
『うん。ヨヌも気をつけてね』
疎らになる教室から、私も委員会用のファイルと筆記用具を持って出る。
この嫌な予感が外れてくれればありがたい。
痛む頭も、とうとう降り出した雨粒も全部私の気分を下げるには充分だった。
・
退屈な委員会も終わって玄関を出る頃には雨足はもっと強くなっていて、正直この小さな折り畳み傘では心許ない気もしたけどこれしか傘は無いし、今更傘に入れてくれそうな友達もいる訳でもない。
むしろ折り畳み傘に感謝をしなきゃいけない。
リュックを前に抱えて雨の中に飛び込むと、傘に当たる雨粒の勢いに驚き、一瞬でぐちゃぐちゃになる足元に落胆した。
雨降るなら白いスニーカー履いてこなければよかった…
開き直って思いっきり水を蹴り上げながら歩いていると、ハニと出会ったあの商店街の前を通り過ぎると、なんとなくハニに会いたくなった。
あの日から…苦しくなるくらい私は天使に恋をして、愛して愛されて、でもそれでも足りなくて藻掻く日々が愛おしい。
会えない日はこうして少し寂しくなって、会えた日にはやっぱり幸せで、私の一挙手一投足、身体も心も全ての根源はハニで構成されているのかもしれない。
今日は私から電話してみようかな。
いつもはハニから掛けてくるけど、今日は私から…
私が……
「ねぇ、あなたがAさん？」
『え？』
突然目の前に現れたのは、こんな雨の日でも細くてしなやかな髪が美しくて、まるで女神のようなそんな女の人だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1231人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うい(プロフ) - 更新待ってます、！ (4月11日 22時) (
レス) id: b4144fdbab (このIDを非表示/違反報告)
犬こそ正義(プロフ) - ↓癒し係〜のお話です！ (4月11日 20時) (レス) @page17 id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
犬こそ正義(プロフ) - 作品一気読みしてます！！家政婦の話、続き読みたいのでぜひパスワード教えてください。。😭 (4月11日 20時) (レス) id: 3d5654d2e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - この作品の世界観が私は大好きです！更新お待ちしております！ (4月3日 21時) (レス) id: 2f9e5d75fb (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - ソヒさん» コメントありがとうございます^^夢小説というサイト？アプリ？は存じ上げず、この作品も占ツクでしか連載をしておりませんので恐らく違う方だと思います…֊ ̫ ֊՞ ՞ (3月20日 10時) (レス) id: 153a5cc26b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すい
| 作者ホームページ：http://twitter.com/sui_no_heya
作成日時：2023年5月2日 16時
