西日 ページ30
あやふやな物事というのはかなり苦手ではあるが、この気持ちをハッキリさせるのも嫌らしい我儘な私。
またグルグルと一人で考えて一人で頭がパンクしそうになるという日々もかなり忙しい。
JH「聞いてる？」
『おっえっ！？あ、うんうん聞いてる聞いてる』
JH「聞いてない時の顔。何、俺といるのに他のこと考えんな」
『…』
この人無意識だろうから何も言わないけど本当にこの発言はよくないと思うんだ。
こんな事言われたら、生まれてこの方少女漫画脳な私みたいな女は勘違いしてしまうに決まってるじゃないか。
JH「…どこか行きたい」
『この前花火行ったじゃん』
JH「もっと遠く…誰も知らない静かで涼しい場所に行きたい」
窓の外を眺める瞳は妙に切なげで胸騒ぎがする。
この人はいつか消えてしまうんじゃないか…と心配が溢れて止まない。
思わず机上に置いてあるハニの手をギュッと握ると、視線をこちらに移してまたあの微笑みを向けられる。
JH「ん？」
『あ…いや…なんかハニが消えそうな感じしたから…』
JH「消える時はAも連れてく」
西日が彼を橙色に染め上げる。
黄身がかった光の中で微笑む彼は正しく天使そのもので、あまりに綺麗なその姿に周りの音全てが掻き消される。
『ハニ…』
JH「ん？」
好き
出てきそうになった言葉を急いで飲み込む。
何を言おうとしてるんだ私は。
溺れないって決めた。この気持ちに気づいても、絶対に彼に届けちゃいけない。
根拠は何もないけど…けど…
この気持ちを伝えたらきっと彼は私から離れて行く。
『私はハニの物じゃない』
彼が私から離れて行くくらいならこの気持ちを飲み込んで、何も気付かないフリをする方がマシだ。
JH「折れないよね、A」
『簡単に折れる女でもいいの？』
JH「Aなら何でもいい」
そんな言葉にさえ甘さを含んでくる彼はきっとどんな凶悪犯よりも悪いのではないかなんて考えてしまう。
私が頼んだアイスを躊躇いもなく1口頬張るハニ。
この後食べたら間接キスだな、なんて考えてるのは恐らく自分だけだと思うと余計に恥ずかしくなる。
滑稽だ、私
JH「Aの髪も金に見える」
『…そうだね』
JH「俺とお揃い」
『…うん』
会話もままならない程に彼という沼に足をはめてしまった。
落ちる、落ちる、堕ちていく。
気づかぬうちに、私は彼に堕ちていく。
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あんぱんまん(プロフ) - 間違えて1番左の星を押してしまったことをお詫びします(இдஇ`｡) (2022年8月30日 9時) (
レス) @page49 id: 9d9411b7d4 (このIDを非表示/違反報告)
RINKA(プロフ) - こちらこそよろしくお願いします！ (2021年9月10日 22時) (レス) id: c21e96cbb4 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - RINKAさん» いつも読んでくださり、本当にありがとうございます！こちらこそ読んでいただき、本当にありがとうございます！これからもよろしくお願いします(^^) (2021年9月10日 21時) (レス) id: 52a215b46f (このIDを非表示/違反報告)
RINKA(プロフ) - おめでとうございます。すいさんのお話がとても好きで、いつも読ませて頂いております。いつも素敵な小説ありがとうございます。更新頑張って下さい。楽しみにしています。 (2021年9月8日 18時) (レス) id: c21e96cbb4 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - うどんさん» コメ主様のその姿を想像して1人でニマニマしてる作者です(ニヤニヤ)嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張ります(^^) (2021年8月15日 18時) (レス) id: 52a215b46f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すい
| 作者ホームページ：http://twitter.com/sui_no_heya
作成日時：2021年7月28日 9時
