トリップ２７ ページ33
んー、やっぱり美形兄弟なのかな。
目の色…ボスみたいで綺麗だな…。
「鉄！お主の才能を見せてやるが良い！」
ん？才能…？何それ気になる。
「いいのかよ、人前ではやるな、ていう癖に」
「時と場合じゃ、力を見せあう事は信頼の証じゃよ」
へぇ、そうなんだ。
私は全くそんな事考えてなかったわ…
運動不足だったからちょうどいいかな、程度だったし…
「…へぇ」
鉄が棺を担いで跳躍する。
「……うそ…」
私でもあんなに高く飛べない…、あの子、どうなってるの…っ
「ヒューはいつもいいこと言うぜ」
ドンッとそのまま着地すればその風で飛ばされそうになる。
なんとか持ちこたえ、辺りを確認すれば、散らばった紙袋に、怠惰に抱えられた真昼、そして嫉妬の上に乗り、帽子で顔を隠した御国の姿。
「はは、惜しいね！主人だけでその力…まぁ、鉄クンの才能は認めるよ。でもそんな大振りな技じゃあジェジェのお顔は披露出来ないなぁ？」
にこっと笑う御国さんにそーか、と呟く鉄。
そーか、じゃないよ。んな大技しておいて息一つ乱れない、てこの子…何者なの…。
「…すごいよ！このメンバーなら椿とだって戦える…っ！戦闘のプロもいるし！」
「待って真昼、なんで私頭数に入れたの」
私は椿側の人間だ。真昼達の方で数えられては困る。
「依頼も終えたし、夏休み終わったらイタリアに帰るわよ？私」
適当に嘘をつけば、視線を感じ一瞬だけ盗み見れば怖い顔をした桜哉が視界に映った。
ごめん、てと心の中で謝っておく。
「あー…そっか…Aも、仕事あるもんな…」
「……時期があえば、手伝ってやってもいいわよ」
んな風に言われたら断りきれない
正直
…世界がどうなろうとどうでもいい…
椿達と、楽しく過ごせるなら
そのためなら、私はー…
【桜哉side】
Aのやつ…記憶操作するの誰がやると思ってんだ…。
『じゃ、桜哉、適当に監視よろしくね？』
てきとーでいいから、と言った椿さんの言葉を思い出す。
『だってこれは城田真昼のためでもあるんだから
そう、今注視しておくべきは…
クロ(兄さん)よりもー…』
笑顔で真昼達を見守る"有栖院兄"
「こいよっクローっ」
「えー…」
椿さん…あの男が一体真昼に何するってー…
その刹那、目が合ってしまい、背中が凍る。
咄嗟に隠れたが、特に何も仕掛けてくる様子もなく、息を整える。
"有栖院"が何だって言うんだよ…っ！？
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作者名：霧島沙羅 | 作成日時：2017年6月2日 14時
