誤解 ページ35
.
『 えっなに小瀧くん！ 』
いきなり走り出して私たちの前から姿を消した彼に
驚きを隠しきれない。
流星と同じ学校やったんか………！偶然にも程がある。
ただ、最後に見せた泣き出しそうな顔を思い出すと、
胸がキュッと締め付けられた。
「 ……………ほーーーん 」
『 何がほーん、やねん！…………これどうするのが正解？ 』
「 追いかける 」
さも当たり前かのように言った流星を軽くどつく。
そんなん分かっとるわ………………
……………どっちが？？
いやいや流星やろ。なんやねんどっちが、て。
私なんも悪いことしてへんし。
なに呑気に欠伸しとんねんこのアホ！
『 流星行きーや！友達やろ！ 』
「 俺が行ったところで火に油を注ぐようなもんやろ、行ってきや 」
『 っと、』
軽めに私の背中を片手で押してはほんなら〜って背中を向けたままもう片方の手を上げてフリフリ。
そんな彼はそれはそれは眠そうに颯爽と校門を出ていく。
『 っんでやねん！！ 』
.
『 はぁっ、ハァ……っ 』
ちょ、小瀧くんほんまに足速すぎやろ、
結構すぐ追った方やからその辺に居ると思ってんけど……………ボルトも吃驚やわ。
すっかり見失ってしまった大きな影に
ガクンと肩を落とした。
こちとらもうすぐアラサーやぞ………みんなしておばさん虐めたがるんやから、勘弁して欲しい。
一通り周辺を歩き回っても一向に影が見えなくて、もしかしたらもう家に帰っているかもしれない、と諦めて帰ろうとした矢先、
ふと視線を向ければそこにはベンチに腰掛ける制服姿。
俯いていて顔こそ見えないがあの後ろ姿は絶対にそうだ。
『 見つけた 』
「 っ、」
刺激しないようにそっと後ろから近付いて声を掛ければその肩は少しばかり跳ね上がる。
………………泣いてはないみたい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1839人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：むんく 。
| 作成日時：2019年8月15日 15時
